アダムスキーやビリー・マイヤー、マリオ・カヴァーロなど、何度も宇宙人と会って交流していると証言する人物を「コンタクティ」と呼ぶ。
恐らくはるか昔からこのような人たちはいたのかもしれないが、明確に異星に行ったとする証言がないので断言はできない。
現在記録が残っていて、最古のコンタクティと言えるのが約125年前に宇宙人と会ったと証言しているのが、スイスのマルティニー出身の女性エレン・スミスだ。
彼女は1894年、33歳の時に宇宙人と接触したと主張し始めた。有名な霊媒師であった彼女は霊を自らの体に降ろして語ったり、またマリー・アントワネットやヒンドゥー教徒の王女の生まれ変わりを自称して当時の様子を話したり、知らないはずのアラビア語を書いたりしていた。そして彼女は宇宙人と接触して火星に上陸したり、宇宙人の霊魂を降ろして「火星の言語」で喋ったり文字を書いてみせたという。
ちなみに、地球以外にも生命があるのではないかとする考え方は古代人も持っていた。中世以降、月や天体の研究が進むと太陽系の惑星一つ一つに人類がいるのではないかと考えられるようになっていた。しかし、いわゆる異星人との接触を主張したのは彼女の証言が初めてであった。
また、彼女は自分が会った存在や訪れた場所の風景を絵に描いてみせた。こちらの絵は半分無意識下の「自動書記」で描き、また火星の言語をフランス語に訳してみせた。彼女の証言はジュネーブ大学の心理学の教授であるテオドール・フラルヨイによって研究され、1899年には「デン・インデス・ラ・プラネット・マーズ(インドからプラネット・マーズ)」という本にまとめられ出版されている。
1900年に、複数のアメリカ人精神分析家や教授が彼女の体験を研究した。だがその結果、彼女の語る火星の言語はフランス語と構成が似ている事が判明。言葉や手紙の頻度分析、納得のいく構文解析から単なる造語に過ぎなかったという結論が出た。また、以前彼女が書いたアラビア語はある本からの抜き書きでしかなかったことも判明。
最古のコンタクティの証言は、残念ながら人々の注目を集めるために考えだされたものでしかなかったのだ。
(飯山俊樹 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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