異星人による拉致事件で被害者となった人間の中には、驚くべき話を聞かされることになった人々がいる。本事件の被害者ハーバート・シルマーもそうした人間の一人である。
だが、当初シルマーは異星人との会話はおろか、異星人と遭遇した記憶も完全に失っていた。事件直後、彼が覚えていたのはUFOを見たという記憶ぐらいだった。そして、体についていた憶えの無い傷跡と妙な体の不調、そして説明のつかない空白の時間が存在することに困惑する日々を送ることになった。
シルマーが奇妙な体験をしたのは1967年12月3日、アメリカのネブラスカ州アシュランドで保安官事務所に勤める警察官として勤務中のことであった。
午前2時半、ハイウェーと幹線道路の交差点をパトカーで通りかかると、道路上に大きな円盤があるのを目撃した。円盤には三つの脚が付いていて、赤い奇妙な光を発していた。見たことも無い物体が目の前にあることに驚きながら、車をゆっくりと進めヘッドライトをあてると、円盤は炎を吹き上げて空に飛んで行った。
シルマーはすぐに保安官事務所に戻った。そして、ふと時計を見て我が目を疑うことになった。時計の針は午前3時を指していた。シルマーが円盤を目撃したのが午前2時半、それから飛び立つまではほんの一瞬の出来事であり、その交差点から保安官事務所までは車でわずか10分の距離であった。
つまり、記憶にない20分間の空白の時間が存在していたのである。
さらに、シルマーの首にはいつのまにか赤いミミズ腫れのような痕があり、ひどい頭痛や耳鳴りもするようになった。
シルマーの奇妙な体験はUFO事件の調査機関「コンドン委員会」(ブロジェクト・ブルーブックを引き継ぐ形で生まれた調査機関で、軍が民間に委託する形で組織された機関だと言われている)の調査対象となり、事件の翌年に退行催眠によってシルマーの空白の20分間の記憶が復元されることになった。
「コンドン委員会」の9人のメンバーの前で、シルマーは心理学者の質問に答える形で失われた記憶を語り始めた。すると、空白の時間は円盤をパトカーのライトで照らしてから、空に飛び去るまでのものであることがわかったのである。
失われた時間、彼の身には何が起きていたのか。その詳細は次回にゆずろう。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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