宗教画や昔の人々が描いた壁画は当時の人々の様々な生活を現代の私たちに伝えてくれるものだが、時折そんな壁画の中には異様なものが描かれていることも多い。
アトラスでもモザイク画に描かれていた恐竜の姿やエジプトの神殿に刻まれた電球そっくりのレリーフなどについて報告している。
今回紹介するのはオーストリアに存在する14世紀のフレスコ画だ。オーストリア南西部に位置するマルタ村ケルンテンの教会に描かれていたものなのだが、その造形をよく見てほしい。丸い耳にとがった鼻先、突き出た口元…どう見てもディズニーランドのミッキーマウスそのものなのだ。
造形はどちらかというと現在のものより、初期のころに近いだろうか。体や手も描かれているが、そちらはミッキーマウスに似てはいない。しかし顔がこれほど似ているということは、何者かがいたずら描きで後から付け加えたりしたものなのだろうか?
この壁画が有名になってから絵は再度鑑定もなされたとのことだが、結論は本物。近世の捏造やいたずら等ではなく、14世紀に作成された当初からこの壁画の一員として描かれていた事が判明している。このミッキーマウスのような生物は旅行者の守護聖人である聖クリストファーの足元に他の生物とともに跪いている姿で描かれている。
この絵を鑑定した研究者によれば、聖クリストファーはしばしば動物に囲まれて描かれることが多く、またこの生物はイタチを描いたものではないかという事だ。イタチには口から受精して耳から出産したという神話があり、それを踏まえて耳を大きくデフォルメしたのではないかとのことだ。
ではなぜ、首から下が人間のような姿をしているのか。それには諸説あるが、日本でいう鳥獣戯画のようなもので壁画の内容からデフォルメを加えた結果このような形になったのではないかと考えられているようだ。
(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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