これまで、プロジェクト・ブルーブックやコンドン委員会など、アメリカのUFO調査機関の名がたびたび登場しているが、その具体的な活動や存在している理由などにはこれまで詳しく説明していなかった。
これら組織の活動の中にも興味深い話があり、ぜひ紹介していきたいのだが、そのためには歴代の調査機関を順を追って見て行く方が分かりやすいと思う。そこで、今回はそれらUFO調査機関の元祖とされる「プロジェクト・サイン」を紹介していくことにしよう。
アメリカ初のUFO調査機関「プロジェクト・サイン」が誕生する契機になったのは、1947年6月24日にアメリカ中を騒然とさせる一つの事件が発生したためだった。
この日、ワシントン州の南部を商用機で飛行中だった民間人のケネス・アーノルドが、光輝く9つの飛行物体に遭遇した。アーノルドの飛行物体は見た事もない形と驚異的なスピードで飛んでいたとする目撃証言は、全米中にまたたく間に広がる事になった。
ちなみに、UFOを表す言葉に「空飛ぶ円盤」というものがあるが、この言葉はアーノルドの証言の誤解から生まれたものだった。アーノルドは物体の動きを説明するため、「水辺に皿を投げると跳ねるように飛ぶが、あんな動きだった」と説明したものが、いつのまにか「皿の形をしていた」と誤解されたことから広まってしまったのである。
実際は、画像のようにブーメランのような形をした物体だったと証言している。こうした誤解を生む程に、「ケネス・アーノルド事件」に対するマスメディアの加熱ぶりはすさまじいものだった。
当時はUFOという言葉すらまだ誕生しておらず、人々は未知の存在に対する激しい好奇心を駆り立てられたのである。
この事態に最も困惑する事になったのは、空軍であった。事件のあと、空軍には途方も無い数のUFO目撃情報が寄せられ、事態を収拾出来ないほどの混乱状態になったのだ。
さらに、アーノルドの事件の直後、7月8日に今度はカリフォルニアの上空を異様なスピードで飛来する円形の物体の目撃情報が軍の関係者からもたらされた。防空に対する責任を有する空軍は、UFOに対する調査を本格的に開始することを決めた。調査の結果、未知の物体が飛行していたのは事実である、との結論が出されることになった。
だが、この当時、空軍内にそれが地球外から飛来しているとする可能性はほとんど考えられていなかった。当時は、第二次世界大戦が集結した直後のことであり、他国の侵略兵器が飛来した可能性が重視された。特に警戒されたのがソ連の最新兵器ではないかという推測である。
大戦中にドイツが円盤形の飛行機を開発していたという情報があり、それをソ連が転用して開発したのではないかとみられたのだ。このような国防上の理由から、空軍は本格的な調査機関を創設することを決める。
こうして同年12月に誕生したのが「プロジェクト・サイン」であった。
【次回へ続く】
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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Unsealed Alien Files Project Sign
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