これは四国の某海岸で聞いた話です。
毎年お盆になると海で死んだ人のために陰膳(かげぜん)というものをするそうです。供養のために離れとか、仏間においておくそうです。
時々そのご飯が少しだけなくなっているとか・・もっとも、それって殆どが猫とか誰かのイタズラなんでしょうが。
さて、僕の友人の家でも、なくなったおじいちゃんあてにお膳を仏間に毎年置いてあったそうです。
ある年の夜、「くちゃくちゃ」という変な音で目覚めた友人は、その音のする方が気になります。どうやら、それは仏間から聞こえてきます。
何気なく、戸の隙間からあけて見ると、大きな黒い影がしきりご飯を食べているそうです。その姿は、長い舌でご飯をくちゃくちゃと舐めまわしているそうなのです。
怖くなった友人が思わず、「誰だ」って叫んだらその影が振り向いたといいます。
その顔は、自分の父でした。
恐怖と仰天が一緒になって、気が遠くなった友人はその場に朝まで失神しました。
翌朝、目が覚めてみるとそこには誰もいません、仏間のご飯もそのままです。彼の父親も普通通りに家にいます。
「ああ、あれは真夏の夢だったんだ」と自分を納得させて、そのまま学校に行ったそうです。
その日の夕方、彼が学校から帰ってくるやいなや、突然、彼の父が職場で急死したという電話が入りました。
彼は今でも思うのです。あれは死神が見せてくれた予知夢だったのだろう、と。
(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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