妖怪

【実話怪談】異国からの不思議な客人たち

私は以前、仕事で輸入作業に関連した業務についていた事があります。

当然仕事は遅く深夜までかかる事もあり、3日に1回は現場の宿泊室に泊る事が多かったのですが、ある夜に起こった話をしましょう。

ある晩のことです。寝ていた私の耳に、ある奇怪な音が聞こえてきました。

「とんとこ、とんとこ」

まるで太鼓の音なのです。

(なんだあの音は?)いぶかしげに周囲を見る私には何も見えません。薄暗い室内が広がっているだけなのです。

「とんとこ、とんとこ」

どうやら音は部屋の外、つまり倉庫の方から聞こえてくるようです。そしてその音は段々大きくなってきたのです。そして近づいてきました。

音は階段を登って、宿泊室の扉の前で止まりました。

(何が始まるんだろう?)不安と恐怖でおののく私の目の前で扉が開きました。そこには大きな面を被った褐色で筋肉質の男が3人立っています。お面はよく東南アジアなどで見ることが出来る伝統工芸の細長いものでした。

「とんとこ、とんとこ」

また太鼓のような音が鳴りだすと、男達は私のベットの周囲で踊り始めました。まるで私に挨拶するように、歓迎するように、男達は不思議な調べに乗りながら、とてもスムーズに舞ったのです。

段々と私も記憶が遠くなり、そしていつしか気を失ってしまったようです。




翌朝、東南アジアからの輸入コンテナを開いてみてビックリしました。丁度コンテナの裏側にあの仮面の絵の落書きが描かれていて、その絵の横には大きく「ハロージャパニーズ」と書かれていたのです。

私はとっさにこう思ったのです。ひっとしたら遠い国から精霊を輸入してしまったのではないかと・・・。

(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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