その昔、地球にはマレー半島からアフリカ中部の橋渡しをするように、インド洋には巨大大陸があるのではないか、とされていた。
この大陸はイギリスの動物学者フィリップ・スクレーターの仮説によるもので、アフリカのマダガスカル島に棲息するキツネザル(レムール)の近縁種が海を越えて遠く離れたマレー半島やインドネシアにのみ棲息しているため、今から5000万年以上前の地球にはインド洋の橋渡しをするような大きな大陸があったのではないか、と考えられたのだ。
所が、実はこのレムリア大陸はインド洋ではなく太平洋上にあり、そこには今の人類とは別の人間が生活していた、という説が出て来たのだ。
この説を唱えたのは、ロシアの神秘学者ブラヴァツキー夫人。彼女はレムリアには半獣半人の巨人が住んでおり、後に人間の祖となる類人猿に姿を変えたとも、両棲類であり現在のオセアニア諸国に住む原住民達の素になったとも言っている。
そして、レムリア大陸は太平洋に沈むことになるが、生き残ったレムリア人はアメリカのシャスタ山中に住んでいる、ともされていた。そして、レムリア大陸の「レムリア」とは「キツネザル(レムール)」ではなく本来は「レムレスの世界」、すなわち「亡霊の世界」を意味しているのだとする説も現れた。
このように、本来の動物学の舞台から神秘学の分野に移ったことで拡大解釈されるようになったレムリア大陸。しかし、この学説は後にウェゲナーの大陸移動説に端を発するプレート・テクニクス理論の確立により、レムリア大陸の仮説は否定。人間より前に住んでいたとされる巨人達も、創作の世界へと消えていくことになった。
(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像はヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー(ウィキペディアより)