先日、アトラスの記事にて筆者は口裂け女の噂は岐阜県の心霊スポット「鶯谷トンネル」が発祥の地であるとする説を述べたが、その背景には鶯谷トンネルのある金華山にも何らかの要因があるのではないかと考えた。
この金華山は信長が城を構えた場所であり、その裏鬼門に降臨した現代妖怪・口裂け女の正体はなんであろうか。鶯谷トンネル戦災被害者の霊にしては、あまりにも小物過ぎないだろうか。
日本中を席巻した大妖怪は、必ず神々の地位から没落した”零落神”的な存在であるはずなのだ。
金華山の地図を見ていて気がついたのだが、この山には、霊的に様々なものを生み出す岩戸が祀られている。岩戸といえば、アマテラスの岩戸隠れの神話に由来する神社である。
筆者は信長が金華山にこだわった理由はこの岩戸にあったのではないかと踏んでいる。つまり、信長が天下布武に使ったのは、この岩戸パワーではないかと推測している。だからこそ、あそこまで飛躍的な勢力伸長ができたのである。
さらに、興味深いことに岩戸神話に関係する神々が周囲に祀られているのだ。まず岩戸をこじあけた手力雄を祀った手力雄神社が確認できる。また、踊りによりアマテラスの注意を惹きつけたアマノウズメの夫である猿田彦も猿田彦岩戸神社に祀られている。だが、肝心のアマノウズメがいないのだ。
アマノウズメは何処に行ったのか。あまりにも大胆な仮説だが、筆者はこのアマノウズメこそが口裂け女になったのではないかと推理している。日本最古の歴史書『古事記』にアメノウズメの興味深い逸話が記録されている。天孫降臨の際、魚たちを集め「ニニギに仕えるか」と問うたとき、なぜかナマコだけが答えなかった。そこで、怒ったアメノウズメは小刀でナマコの口を裂いたと記述されているのだ。ナマコの口を刃物で咲く女神・アマノウズメ、彼女こそが口裂け女に零落した古代の神ではないのだろうか。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像は『ウィキペディア 金華山 (岐阜県)』より