本日7月1日から嵐の大野智を主演にした映画「忍びの国」が公開される。「のぼうの城」「村上海賊の娘」などのヒット作で有名な和田竜氏の同名小説が原作で、戦国時代に伊賀忍者と織田信長軍との間に起こった天正伊賀の乱が舞台となる。
この映画でフィーチャーされるのは伊賀忍者だが、幕末期に活躍した伊賀忍者が存在する。
嘉永6年(1853)、ペリー提督の艦隊が来日し、ここから鎖国していた日本の情勢は大きく変貌していく事となる。この浦賀に来航したペリー艦隊に対し、伊賀の忍び・沢村甚三朗保祐に、老中から特命が下った。検分と称して乗り込んだ、沢村は乗組員よりオランダ語の書類を入手し、その文書は現在でも澤村家には残されている。澤村館跡は保存されており、最後の忍びとして人気が高い。
なお、司馬遼太郎の「風の武士」は、忍術などろくに知らない伊賀忍者の末裔である柘植信吾が、幕末の動乱期に熊野山中の幻の国「安羅井」を巡る陰謀に巻き込まれる快作である。近代の日本において、忍者の末裔が感じる困惑が、滅びの悲哀とともに語られ、なかなかの秀作である。近代の忍びに触れたければ、一読を薦めたい。
江戸期に生きた忍びの術は、昭和の末期頃まで継承者が残されていた。現在もその技を受け継ぎ、道場を構えている人もいるが、昭和には全国の小学校を廻り、その術を子供たちに披露していた忍びの末裔も存在したという。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)