明治23年2月の新聞紙上で報道された奇妙な事件がある。
長野県松本で、明治19、21、23年となぜか2年おきに火事が発生した。
特に23年の火事は60戸を焼いて沈静化する大規模なものになった。現代と違い、木造家屋も多く消防車等も存在しない当時、少しでも出火があると燃え広がって大火になってしまう事は多かった。
しかし、火事は奇妙なことに馬喰町のとある豪商の家の近くまで来ると必ず消えてしまう。周囲の人々はこの家の古い蔵には数百年を経た大蛇が住み着いており、火事を消してしまうのだろうと噂していた。
この商家では大蛇を飼うのに毎日数升の米を捧げているという風評も立ち、さらには見世物小屋から大蛇を数百円で譲って欲しいと持ちかけられた。しかし、商家は「家の守り神でもあるし、この大蛇はどんな火事でも消せるから」と断ったと言われている。
やはり、家を守る蛇は存在していたのだろうか。
残念ながら、この蛇が実在したのか、またその後どうなったのかは分かっていない。
(監修:山口敏太郎/田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像©PIXABAY