山の中から呼びかけてくるのは…妖怪?山梨県「待て待ての沢」

「待て待ての沢」は山梨県の追分と呼ばれていた集落に伝わる妖怪である。

かつて山仕事をする人々はボッカ衆と呼ばれていた。




追分集落の近所にはこのボッカ衆の休憩所があり、山に少し入った所に沢があった。

ある日二人の男がこの沢の辺りを通りがかった時、急に背後からこう声をかけられた。

「待て待て」

振り返ってみても人は居ない。恐ろしくなって二人は沢から逃げ出してしまった。

この沢では度々同じように「待て待て」と人に呼びかける声が聞こえてきたという。

このような「山で声をかけてくる」妖怪の伝説は日本各地に残っている。有名なもので「一声叫び」という岐阜県大野郡の山間部に現れるとされる妖怪が存在している。




この妖怪も名前の通り山を行く人間に声をかけてくるのだが、必ず1回しか声をかけない。なので、山仕事を行う人達は互いを呼ぶ時に必ず二声で呼びかけたという。一説に寄れば、日常でも人を呼ぶ際に二声続けて声をかけるのも同様の理由からくるという。

そう考えると、「待て待ての沢」は人間の妖怪に対する対処法を逆手に取った、頭脳型の妖怪が潜んでいたといえるかも知れない。

(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©PIXABAY

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