妖怪・幽霊

心霊スポット「手招き地蔵」とバス事故の怨念

 これは岐阜の長良川沿いに立つ”とある地蔵”の別名であり、筆者の友人が体験した地元の一部の人しか知らないマニアックな呪いスポットである。昼間は子供たちの歓声がこだまする河川敷であり、隣接したサッカー場では子供たちの叫び声がこだましている。

 その横にある藪の中に設置された地蔵は、なんとも言えない不気味な空気を醸し出している。筆者の取材時、夕方に現地に踏み込んだのだが、異常なムードに現地の友人や事務所スタッフたちは早々に逃げ出す始末であった。




 竹藪に覆われながら明るい声が響くサッカー場に背を向け、川面を見つめるその背中には悲しげなムードが漂っている。

 実はこの地蔵の設置された背景に暗く悲しい事件があったのだ。昭和47年に発生したバスの転落事故による犠牲者の御霊を供養するために設置されたものである。

 この地蔵に纏わる恐怖体験を紹介しよう。 

 昭和の末期、筆者の友人であるYさんは彼女と一緒にこの場所を車で訪れていた。誰もいない河川敷で甘い時間を過ごそうとしていたのだ。

 (さてキスでもするか)車を地蔵の背後に乗り付け、Yさんが彼女に迫った時、彼女の悲鳴が上がった。

 「ああああぁぁぁ、あれ見てよ」
 「おいおい、なんだよ。いい時に」

 震える手で彼女が指差す方向にYさんが目をやると、背を向けた地蔵の肩から白い人間の手が出て手招きをしているのだ。

 「えええっ、なんだ。あれは」

 これは地蔵の前掛けが風で揺れているだけではないのか?それとも雑草が風に揺れているのだろうか。好奇心旺盛なYさんは更に観察を続けた。

 「早く、早く車を出してよ」




 横にいる彼女は嗚咽している。冷静に何度もみたが、紛れもなく人間の手である。

 (あぁ、これはいかん!)急に恐怖に襲われたYさんは車を発進させたが、謎のエンストを起こし車は動かない。

 「どうにかしてよ!」

 助手席の彼女は半狂乱である。Yさんは震えながらお経を口にした。すると奇跡的に車が動き出し脱出に成功した。

 この体験は筆者の友人であり、岐阜の新たな夏の名物となった「柳ケ瀬お化け屋敷」の実行委員会の某氏の体験である。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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