妖精といえば、昆虫のような羽を背中に生やした可憐な姿で手のひらに乗るほど小さな姿のものを想像しがちだ。
だが、中には巨人のように非常に大きな姿をしているものも存在している。
イギリスのマン島に伝わる親切な妖精。毛むくじゃらで体が大きく、力自慢の働き者だが、醜い容姿だという。マン島の農場を回って、夜更けに農夫や羊飼いの仕事を手伝い、日が昇るまでには全ての仕事を片付けてしまうとされている。
報酬は食べ物や飲み物だが、新しい衣服を送ると二度と現れなくなってしまう。これは新しい着物が嫌いなためだとも、新しい洋服を他の妖精に見せびらかしに行ってしまうためとも言われている。
毛むくじゃらで人の家事を手伝うというよく似た特徴を備えた妖精にブラウニーがいるが、こちらはさほど大きくない。それもそのはず、フェノゼリーはもともとブラウニーの仲間だったのだが、ある日妖精達の祭を人間の少女と踊りあかしてすっぽかしてしまったため、追放されてしまったのだという。
ある伝承では、鍛冶屋がフェノゼリーに握手を求められ、手の代わりに草をはく鋤を差し出したところ、島に自分と同じように屈強な者がいると知って喜んだとされている。
(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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