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【妖怪ウォッチ研究序説】モデルは中国でも珍しい霊獣だった!?「カイチ」と「イッカク」

※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。

妖怪ウォッチ2で古典妖怪でもレアな個体として登場するイッカク。大辞典にもある通り、額にある「一本の美しい角」が特徴的な妖怪だ。




以前アトラスで紹介した麒麟の項目でも書いた通り、本来の麒麟の角は一本だけとされているので、イッカクは麒麟が昔のままの姿で現れたものなのかもしれない。

また、イッカクによく似た姿の妖怪が中国の伝説に登場している。その名は獬豸(カイチ)と言い、額に一本の角を備え、羊に似た姿をしているという(恐らく毛並みが似ていると考えられる)。しかし、性質が似ているためか麒麟や獅子に似た姿で描かれることもあった。

獬豸はその瞳で人の罪の有無や善悪、嘘や不正を見極めることができるとされており、時折人間たちの前に姿を現して公正な裁きを行い、悪人を懲らしめたりすると言われていた。疑わしい人物を獬豸の前に出すと、獬豸はその人物が嘘を吐いていたり悪人だった場合は角で突くが、善人や無実の人間だった場合は角で触れることはないという。




獬豸の診断は決して間違う事がないため、中国では正義と公正の象徴とみなされ、古代中国の裁判官の服に獬豸の姿が刺繍されたり、『後漢書』巻四十「輿服志」によれば裁判官専用の帽子が獬豸冠と呼ばれていたという。

日本よりも中国に多く伝説の残る獬豸だが、公正な守護者としての側面からか狛犬の原型の一つになったとも考えられている。

(黒松三太夫  ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)

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