毎年、年末になると注目を集める一つの未解決事件はあまりに有名である。
2000年の12月30日、外資系コンサルタント会社に勤務する東京都世田谷区在住のMさん宅にて、長女(当時8歳)や長男(当時6歳)を含む一家4人が殺害された。犯行は当日午後11時から31日未明に行われたと考えられている。
犯人は、一家を殺害した後、なんと犯行現場であるM宅に長時間居座るのである。犯人は犯行時に手を負傷していたため、救急箱が物色されたり、治療を試みた形跡があったことから手当ての為に逗留(とうりゅう)したとも考えられるが、この間に犯人は被害者宅の冷蔵庫にあったアイスクリームを食べるなどし、更には2度に渡ってみきおさんのパソコンでインターネットに接続していたという(午前1時18分と午前10時頃。なお、マウスからは指紋が検出されたが、キーボードからは検出されていない)。
そんな中、ネットで『犯人、又は犯人に近しい人物のものではないか!?』と噂になった疑惑の書き込みがあった。
いずれの書き込みも某“大手掲示板サイト”に寄せられたものであるが、本当に犯人(ないしは犯人を見知る者)の書き込みなのか、真偽のほどは定かではない。
なお、現在ではキャッシュが残っているかすら怪しいので、原文をここに転載させて頂く。
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170 名前:黒ムツさん 投稿日:2000/12/27(水)17:03
俺は3歳のガキの頃から鼠を刺し殺し、又はては烏に与え、これを13歳に成った今でも続けている。其れと並行して犬も殺す事を7歳の頃に覚えた。最初に殺すのもあまり躊躇いは無かった事が鮮明に記憶に残っている。俺に突然噛み付きかかって来た体長約60cmの少し大きめの犬だった。一発蹴るとまだ噛み付きかかって来やがるので、俺は犬の腹を引き
続き蹴った。何発蹴ったのか覚えていない。死んだ時には其の犬は口か
ら大量の血を流し、腹からは内蔵が少し食み出ていた。勿論今でも此れ
は野良犬を見掛けるとやる。今では蹴る力も倍増し、手でバラバラにす
る事さえ躊躇わないようになった。悪臭がするがそんな事気に為ない。
猫にも時々同様のことをやる。猫を顔を含め包帯でぐるぐる巻きにした上で、内蔵を切り裂いて取り出し、道路に放り出して置く。すると烏が咥えて持って行ってしまうか、自動車に引かれて余計に悲惨な光景に成る。が、其れがまた快感だ。友達とどちらの結果に転がり込むか賭けをしたことさえある。最近は人間を切り裂いて内蔵を見たいとも考える。あの歌舞伎
町で起きたビデオ屋爆破事件の容疑者の少年が供述していたように。
今では隣の幸せそうな家族を見るとあの大分一家殺傷事件のようにして
しまいたいとも思う。決行日は12月31日午後11時59分だ。21世紀がやって来る前にちゃっちゃと殺ってしまおうか考えている。
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こちらは某掲示板にて書き込まれた、動物虐待に対する告白である。文中の内容や世田谷一家殺害事件の犯行日と近似した『決行日』。また事件の前、2000年夏頃から現場付近で尻尾を切られたり皮を剥がれると言った野良猫の虐待騒ぎが起きていた事もあって、この書き込みは一部マスコミでも取り上げられた。
だが、万が一にこの書き込みを行った者が犯人だったと仮定して、掲示板で犯行予告を行うほど自己顕示欲の強い者が、決行日時を変更したりはするだろうか?
また、文中に『隣の幸せそうな家族』とあるが、宮澤さん宅の隣は、妻である泰子さんの母親の家である。もし仮に犯人が近隣の住民だったとしても、事件後の警察のローラー作戦に引っかからずに、さらに捜査線上に上がらずにいられるものだろうか?
以上、複数の矛盾点から、この書き込みはただの悪ふざけである可能性が高いと見られている。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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