アメリカ・フロリダ半島の先端、大西洋のプエルトリコ、バミューダ諸島という三点を結ぶのトライアングルの海域は、かつて昭和の頃、飛行機や船が消えてしまう『魔の三角地帯(バミューダトライアングル)』と呼ばれ恐れられていた。
100機を超える船や飛行機が行方不明になり、1000人以上が消えてしまい、その原因は諸説唱えられた「四次元につながる穴に落ちて消えてしまったのだ!」とか、「宇宙人にさらわれ、異星に連行されたのだ!」とか。
過剰な表現が当時の子供たちを震撼させ、当時トラウマになった中高年も多いのではないだろうか。但し、実際にはさほど事故事例が多いわけでもなく、行方不明になった原因もハリケーンやエンジントラブル、操縦ミスなどが原因の遭難であったと推測されている。つまり、単に事故の多い”海域”という表現が適切であったのだ。
他の行方不明の原因としては、最近”メタンガス説”が唱えられつつある。この説によると、海底の地すべりに伴い、地中深くに埋蔵されていたメタンが暴発し、海上の船、航空機に災害を起したとか、メタンガスが燃え上がり、大爆発しマイクロバーストにより船や飛行機を運行不能にしたとか言われているのだ。
また、最近では同海域では、海藻のホンダワラ類(サルガッソ)が繁茂しており、帆船のスクリューを止める事から遭難が続いたとも言われており、人工衛星からも藻の繁殖具合が撮影されたこともある。この撮影は同海域に繁殖している藻の大群が、温暖化の原因と言われている二酸化炭素をどの程度吸収するのか、確認するために行われたのだ。つまり、地球の温暖化は、二酸化炭素を大量に吸収できる『バミューダ・トライアングル=魔の三角地帯』が救うかもしれないのだ。
また、少し前には『バミューダ・トライアングル=魔の三角地帯』の海底にて、クリスタルピラミッドが発見されたというニュースが流れた。
アメリカとフランスの探検グループのレーダー探査により、バミューダトライアングルの水深600メートル(2000フィート 10000フィートという説もある)の海底に表面が水晶のようにみえる「クリスタル・ピラミッド」があることが判明した。
この手のウワサは、93年7月にも流れており、米英の科学者が大西洋の海底(約千メートル)にて、ピラミッドを発見したというものであった。
だが、このような話は、海底探査業者が沈没船を引き上げる資金集めのために打ち上げるアドバルーンであることが多く、今回も目を引くプロモーションを展開した可能性がある。
魔の海域は、その知名度から時として広告塔になってしまうこともあるのだ。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)