アメリカに出現すると言われている未確認生物の中には、都市伝説的な側面や特徴をもつ怪物のようなものの目撃証言が存在している。その最たるものがジャージー・デビルだが、110年以上も前にアイオワ州にて、まるで悪魔のような外見の怪物が出現、町の人々を恐れさせるという事件が起きていた。
その怪物は人型に近いがコウモリのような大きな翼を持っており、頭部には角、目は闇夜でも明るくギラギラと光っていたという。そして、強力な悪臭をまとい、高速で空を飛び回ったと言われている。
現在では、出現した町の名前から「ヴァンメーターの怪物」と呼ばれているこの生物は、1903年の秋に初めて目撃されたという。町の建物上空を旋回する奇妙な生物の姿が目撃されたことを皮切りに、町の中に生物のものらしき三つ指の足跡が発見され、また別の日には電柱の上に佇み、カンガルーのように跳ねて移動する様子が目撃されている。
ある時、住人らが飛び去っていく怪物を追いかけた所、怪物は町のレンガ工場の近くに存在する廃坑へ入っていったのが解った。実はこの廃坑は、怪物が目撃される少し前から、聞いたこともない奇妙で恐ろしげな鳴き声が響いてくると噂になっていた場所でもあった。
そこで、住民らはここが怪物の巣だと考え、銃などの武器を手に廃坑に向かった。廃坑の中には町で目撃されていた怪物と、その横にやや小振りの同じ姿をした怪物がいたという。もしかすると親子だったのかも知れないが、住民らは怪物にむけて発砲した。しかし、多くの銃弾も怪物には何ら効果がなく傷一つ付けることが出来なかったが、怪物も恐れをなしたのか、更に廃坑の奥へと逃げていき、以降は姿を見ることもなくなったという。
果たしてこの生物の正体が何だったのか、今では確かめるすべはない。一部は誇張が入っていると考えられるものの、非常に興味深い未確認生物であることは確かなようだ。
なお、不幸の前兆として恐れられる未確認生物のモスマンが、現在では地域興しの題材に用いられているのと同様に、今は出没した日を記念してフェスティバルが行われるほど、地元では愛される伝説の生き物として親しまれているようだ。
(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)