「子供って、いろいろと見ちゃう、って言うよね」
そう、友人は筆者に言った。
大学時代からの付き合いである友人は、今は結婚して実家のある隣県で暮らしている。3歳になった下の子は、たまに子供にありがちな支離滅裂な話になるものの、ある程度のお喋りが出来るようになっていた。好奇心も旺盛で、毎日色々な物に興味を示してあれこれ話してくれるのだが、たまに妙な事を言うという。
先日、お彼岸だったので主人と共に墓参りに行ったのだが、ふと目を離すと子供がいない。慌てて探してみると、別の家の墓に入りこんでしゃがみ込み、なにやら話しながらいたずらをしていたようだった。
人様のお墓だったこともあって、急いで墓から連れ出そうとすると、その子は激しく嫌がった。
「こんな所でイタズラしちゃ駄目でしょう!」
彼女がそう言うと、その子は墓の一角を指さして
「イタズラじゃないよ、女の子とあそんでたんだよ」
その子の指の先には、墓と並んで立つ小さな地蔵があった。
「水子か何かの供養のためのお地蔵様、よね……その時は、とにかく『いいから帰るよ』って急かして帰ってきたんだけど」
確かに、幼くして亡くなった子供のためか、墓の敷地内にお地蔵様を置いていたりする家は多い。しかしその子は、しばらくそのお地蔵様に向かって話しかけていたばかりではなく、帰る時にはお地蔵様に向かって「ばいばい」と手を振ったのだという。
やっぱり子供は何か見えていたのかも、と筆者が言ってみたところ。
「……でもね、今も……家で、何も無い所を向いて楽しそうに話かけたりするのよ。試しに『誰かいるの?』って冗談で聞いたら、『こないだの女の子』って……」
幼くして亡くなってしまった子が、遊び相手を求めてついてきてしまったのだろうか。彼女の子供は、今もたびたび何も無い所に向かって手を振り、話しかけることがあるという。
(ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)