※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。
大きなフードに藁靴をはいた姿をしているゆきおんなも、昔から日本各地に伝説の残っている妖怪だ。大辞典の解説にある通り、冷気を生み出して凍り付かせてしまう力を持っている。
ただ、外見はどちらかというと進化後のふぶき姫の姿が近いかもしれない。雪の降りしきる中、雪のように白い肌の美女が純白の着物を着てたたずんでいる、というものが一般的な雪女のイメージだろう。
気温から考えても場違いな薄着だが、彼女を見つけたときは死を覚悟しなくてはいけない。雪女と出会った人はたいていその後にすぐ殺されてしまう運命にあるからだ。
雪女の話で一番有名なものが、小泉八雲の著作『怪談』で紹介されている話だろう。ここでは雪女は若い猟師に一目惚れして「自分を見たことを誰にも話さないように」約束させて見逃してやる。後に人間に化けて長年彼の妻として過ごす。
しかし猟師がうっかり彼女に「昔、雪女を見た」と話してしまって、約束を破られた彼女は自分がその雪女本人であることを白状して去ってしまうのである。
また雪女は非常に体温が低く、触られただけで溶けてしまうという説もある。
ある民話では、雪で道に迷った若い女性に老夫婦が宿をかしてやり、気立てのよい娘なので春になるまで留まるようすすめて風呂に入らせたところ、彼女は一本のつららだけ残して溶けてしまった。そこで初めて彼女が雪女だったと判明した、という話もある。
(黒松三太夫 ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)