※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。
妖怪ウォッチの大辞典にて「長老妖怪三兄弟」とされているまぼ老師・かげ老師・ほう老師の三体。
いすれも穏やかな性格のようで、幻を操るまぼ老師は「どんなむずかしいこともまぼろしを使ってわかりやすく教えてくれる」、かげろうのように姿を消すことが出来るかげ老師は「姿を消して、人間たちのことをほほえましくながめている」。ほう老師は名前の通り旅が好きなようで、各地を放浪しているという。
この三体に似た姿の妖怪が、江戸時代から伝わっている。江戸時代の絵師・鳥山石燕の『百器徒然袋』にて紹介されている「払子守」がそうだ。そこでは座禅を組んだ長い髪と髭の老師の姿をした妖怪が描かれている。
「払子」はお坊さんの使う道具で、長い棒の先には獣の毛で出来た白く大きなふさが付いている。
元々はインドで虫よけのために作られた道具だったが、仏教の修行を邪魔する煩悩をはらう道具としてもみなされるようになって、日本にやってきた。払子守は、長い間お坊さんに使われ、お経を聞き続けていた払子が悟りをひらいて、お坊さんの姿の妖怪になったというもののようだ。
お坊さんと妖怪だと、水と油のように思えるかもしれないが、ゲーム内でもお寺の和尚さんが妖怪の合成進化などを手伝ってくれるので、優しい妖怪の場合はもちつもたれつの関係なのかもしれない。
(黒松三太夫 ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)