今年、世界が注目したアメリカの次期大統領選挙は下馬評を覆し、共和党トランプ氏の勝利となった。
トランプ氏と言えば、選挙期間中の過激な発言が印象深い。メキシコ移民に関して「麻薬や犯罪を持ち込んでいる」「彼らはレイプ犯だ」等と発言していたり、「大統領になったらシリア難民を帰国させる」、「メキシコとの国境に壁を造る」などの発言は物議を醸していた。
これらの発言はアメリカで人々の影に隠れていた差別意識を呼び起こしたともされており、トランプ氏の当選後は各地で有色人種やイスラム系の人々を差別するような事件が起こっていると言われている。
そして、アメリカの秘密結社にして白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」がトランプ氏の大統領選勝利を祝うパレードを計画していると発表。来月3日に行われる予定だそうだが、詳細は明らかになっていない。
このKKKの発言と計画に関して、米ノースカロライナ州の共和党支部は「嫌悪感を抱いており、この過激なイデオロギーとそれに関連する行動を可能な限りの強い調子で非難する」との声明を発表している。
KKKは1860年代に成立した白人至上主義を掲げる秘密結社である。
南北戦争後の1860~70年代と、第一次世界大戦後の1920年代頃、アメリカでは特に活動を行っていた。黒人を初めとする異民族や理解を示す白人に対し、過激な発言だけでなく時に過激なテロ活動なども行っており、永らく恐怖の存在として見なされてきた。
彼らの特徴として、頭からすっぽりと三角形の帽子のついた覆面で顔を覆い、幽霊のようなガウンを全身にまとう奇妙な格好が上げられる。これは彼らの活動が始まった当初、自由を得た黒人奴隷達が読み書きが出来ず迷信深かったことを利用し、「南北戦争で命を落とした白人兵の幽霊」の姿を装って脅していたことに由来するという。
KKKの過激な行動や独特の格好が、創作や陰謀論の世界に登場する恐怖の存在としての秘密結社のイメージを作り上げることに一役買ったであろう可能性は否定できない。
そんな秘密結社の再始動は、アメリカに何をもたらすのだろうか。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)