以前、本アトラスではロシアのシベリア南部に存在する謎の巨石遺跡ゴルナヤ・ショリアについて紹介した。
非常に大きな岩を組み上げて造ったとしか思えないこの遺跡は、当時はもちろん現代の技術でも到底不可能な規模であるため、この文明は巨人が造り上げたものではないか、とする説があるくらいだ。
このようにロシアでは近年、非常に年代が古い遺跡や遺物が多く発掘され、研究が進められている。その中にはこれまでの歴史の定説を覆すようなものも存在しているのだ。
1894年、ウラル山脈の東麓にあるエカテリンブルグから約100キロ離れたシギルの泥炭地より、木製の像が発見された。
複数の破片に分かれていたものを組み立ててみたところ、高さは約2.8メートルもの大きさになった。20年後に別の考古学者が未使用だった木片をさらに追加して再構成してみたところ、木像の本来の大きさは約5.3メートルあった可能性が出てきたのである。
この木像は発見された場所から「シギルの偶像」と呼ばれており、素朴な彫刻に、全体に刻まれた幾何学的な模様は周辺地図を図案化したものではないかとされている。
では、この木像はいつごろ制作されたのか。
鑑定の結果、なんと約11,000年前のものである可能性が出てきてしまったのである。現代の定説では、最古の文明は紀元前5000年前に成立したという古代シュメール文明とされている。
この定説より「シギルの偶像」は遙かに古い。
他にもロシアには約9000年前に作成されたとされるピラミッド型の遺跡なども発見されており、研究を重ねれば世界の古代史の定説が覆るのではないかと言われているのだ。
シギルの偶像はなんの目的のために造られたのかも判明していない。もしかすると、シベリアの地には我々の知らない歴史のミステリーが今も眠っているのかもしれない。
(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)