世界の七不思議の一つに数えられている、古代エジプトのピラミッド。
ギザに存在する三大ピラミッドが有名だが、エジプトには他にも多数のピラミッドが現存しており、中には非常に謎めいたものも存在している。メイドゥムに存在する「崩れたピラミッド」もその一つだ。
このピラミッドは見ての通り、実に中途半端な形状をしている。巨大な三段構造だが頂上部は大きく崩れ、周囲には大量の砂れきが山積みになっている。一見、未完成や崩壊してしまったようにも見えるこのピラミッドは、第4王朝スネフェル王によって紀元前2550年頃に建造されたと言われている。ちなみに、スネフェル王はクフ王の父にあたる。
このピラミッドは一辺が約145メートル、高さは建造当時は96メートルにもなったとされているが、斜面の角度を見ると解るが非常に急勾配なものとなっている。そのため、勾配が急すぎて石材が崩れ、途中で崩壊してしまったのではないかとする説が有力だ。
だが、砂れきの下には当時の入り口や内部に玄室が存在していたことなどから、逆に初めからこの形状で仕上げようとしていたのではないか、とする説も存在している。その場合、勿論周囲の砂れきもピラミッドを構成する意味のある要素だったとされているのだ。
他にも盗掘や資材が転用されて結果的に現在の姿になってしまったとする説や、スネフェル王の先代にあたるフニ王が未完のままで放置したものをスネフェル王が完成させ、技術の違いのために崩れてしまったとする説など、様々な説が存在しているが、未だに結論は出ていない。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)