未確認生物というと、ネッシーやチュパカブラのような、異形の存在やきわめて大きな体をしたものを想像しがちだ。だが、普通の生物と変わらないものも未確認生物に該当する事がある。
日本で捕獲された「タネズミ」も一種の未確認生物と言われるものだ。
タネズミは1847年に新種に認定された鼠である。しかし、その後の捕獲事例が存在していない、奇妙な生物なのだ。
海外の学者が日本から送られてきた標本を元に鑑定し新種と認定したが、標本はイギリス人が青森と山形で捕獲した2例のみ。
大きさはクマネズミとハツカネズミの中間ほどで、耳は長く卵のような丸型、毛は短く頭から背にかけては錆色、体は灰茶色で腹部は白っぽいとされている。
タネズミの外見については、来日した医師シーボルトが長崎に滞在していた1823年から29年の間に採集した膨大な動物標本や日本人絵師等が描いた下絵を元に、オランダのライデン博物館の研究者によって作成された「日本動物誌」の哺乳類編に描かれている。
そこにはホンドヒメネズミ、ホンドハツカネズミと共にやや大きなタネズミの絵が描かれているのだ。なお、日本動物誌の刊行は1842年から1844年。正式に新種認定される前に掲載されたものと考えられる。
現在では、タネズミの正体は一種の突然変異ではないかと考えられている。
報告はあれども、標本が発見されたり捕獲がなされておらず、結局再び消えてしまった。そんな奇妙な新種の動物「タネズミ」もまた、未確認生物なのである。
※画像は日本博物誌より
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)