最近、巷では「小さいおっさん」の目撃事例が増えている。
この都市伝説と思われる小人話は大変興味深いのだが、中には実際に見たとしか思えないリアルな目撃談も含まれているから厄介だ。
ベットで寝ていると小さいおっさんが出てきたとか、風呂場に出没したとか様々な情報が届いている。
小人が体操しているのを目撃したことで知られているタレントの釈由美子は、以前あるテレビ番組に出演した際に、「風呂場で小さいおっさんに励まされたが、怖いのでシャワーで流してしまった」という体験を告白している。
果たして都市伝説のニューヒーロー「小さいおっさん」は実在するのであろうか。
現代人が目撃する21世紀の小人伝説「小さいおっさん」であるが、筆者も何度かその体験談を耳にしている。
いくつか紹介しよう。
友人の漫画家M子は中野区で兄と歩いているときに、野外で二人組の小人に遭遇したことがあった。小人たちは見られた事に気が付くと、草むらに逃げ込んでしまったという。
他にもフリーライターI氏の奥さんも小人を見たことがあるらしい。彼女がまだ幼い頃、小人に教わりながら土まんじゅうを作った事があるという。
また、拙著「妖怪体験録~怪異接触篇」(山口敏太郎 学研 2003年)に記載した、怪談の語り部である鳴釜のんさんの体験も興味深い。
彼女は小人を度々見ているらしい。最初に見たのは埼玉県で、二人組の小人が何か荷物を運んでいたという。2005年にも山手線の日暮里駅の近くで、作業服を着た小人を目撃したと証言している。
この「小さいおっさん」の目撃談は有名人だけではなく、ごく普通の人々からも報告されており、あながち嘘とは思えない。
ちなみに筆者の祖母も、鳩時計から小さい人間が複数出てきて輪になって踊るのを見たと言っていたし、多数の読者から「小さいおっさん」の目撃談が寄せられている。
この「小さいおっさん」の目撃事件に関してだが、一番有力な説は「レビー小体型痴呆症」である。これにかかると、いるはずのない小人や妖精を目撃してしまうというのだ。筆者の祖母のケースもこれに該当するであろう。
だがそれだけで全てが片づくという訳でもないのだ。
考古学の世界では「レビー小体型痴呆症」では説明がつかないどころか、実際に小人が生息していた可能性がある化石が発掘されている。
オーストラリア・ニューイングランド大やインドネシア考古学センターのチームが、2003年インドネシア・フローレス島・リアンブアの洞窟にて身長1mのミニ人類を発見したのである。
発掘された個体は成人女性の骨で1万8000年前のものだと言われている。特に頭骸骨、大腿骨、腰骨などはかなり良い状態で発見されたとのことだ。
また2005年の10月には、別の個体と推測される顎の骨も発見されおり、一体の突然変異ではないことがわかった。しかも、小型の象の骨も一緒に発掘され、火をおこした跡もあることから、火を使う技術があった事が判明した。
このミニ人類の学名は「ホモフロレシエンシス」と呼ばれ、1万2000年前まで棲息したのが確実視されているのだ。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)