※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。
妖怪ウォッチ1にて、一番はじめのボス妖怪として登場したミツマタノヅチ。
どっしりとした体に大きな口のついた三本の首を持ち、三本の首のどれかに弱点の目を隠しているという不気味な姿をしている。
「ぶあつい皮で守られた体」は名刀すら通さないそうなので、首を攻撃して弱点の目を探し、ねらい打ちにする必要がある。名前はおそらく日本神話に出てくるヤマタノオロチから来ているのだろう。ヤマタノオロチは八本の首を持っていることから「八又」と呼ばれているのだ。
さて、名前に「ミツマタ」とついていると言うことは、三つ叉ではないノヅチがいるという事になる。
それが野槌だ。
野槌の見た目は蛇に似ているが、もっと太くて全身に剛毛が生え、大きな口だけが顔らしき部分についているという、太短い大蛇のような姿をしているのだ。
江戸時代の文献によれば、野槌は草木の精霊で目も鼻もない姿をしているという。また、大きな槌のような姿をしているためこの名前で呼ばれるようになったともされている。
野槌の伝説は日本各地に残っており、鹿を一飲みにしてしまうなど獰猛な性格で、人を見ると坂道を転がってきてかみつくと言われている。
地方によっては、野槌にぶつかられると死ぬ、出会うと病気になるとも言われているが、坂道を上ってくるのは遅いので、出くわしたら高いところへ逃げるのが良いともされている。
(黒松三太夫 ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)