愛知県南設楽郡に伝わる、人に憑く「おとら狐」。
主に病気の人にとり憑き、憑かれた人は 左の目から常に目やにを出し、左足に痛みを覚えて引きずって歩くようになるという。
実はおとら狐は片目片足の狐であり、実体を失った上位の狐、空狐であるとされていた。
おとら狐が片目片足を失ったのにも理由があり、彼が自分が憑いた人間の口を借りて身の上話を語った所によると、もともとおとら狐は長篠の合戦場にほど近い森の鎮守の稲荷をしていたが、合戦を見物していたところに流れ弾が飛んできて、左目を失ったと いう。
その後、信州犀川の岸辺で昼寝をしているときに猟師に狙撃され、左足が不自由になったのだという。なお、見物していたため かおとら狐は長篠の合戦の様子を詳しく物語ることができたという。
おとら狐を離すためには行者によって憑き物落としをしてもらうと良いと言われているが、どうしても離れないときは静岡県磐田郡水窪町の山住神社より山住さん(お犬様=山犬、狼の神)を迎えると離れるという。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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