大規模な地震や、地震が頻発したりすると出てくるのが、「人工地震」という言葉だ。
アトラスでは人工地震に関しては過去に何度もとりあげている。「博多の大陥没事故は人工地震だった」「ドラえもんで人工地震のメカニズムが放送される」「熊本地震は双子の地震、阪神大震災も双子の地震」などが代表的なアーカイブである。
地震の規模が想定より大きかったり、誰かが「地震が来る」とネット上などで予言していたり、奇妙な前兆現象が見られたりすると、「この地震は何者かが人工的に発生させているものなのではないか?」とする噂や陰謀が囁かれる。
そして、その人工地震を発生させているのは秘密結社とされる団体や大国、未知の兵器など様々だ。いずれも都市伝説程度でしかないが、そんな「人工地震」は真実だった!?と思われる「物証」が存在しているといったら驚かれるだろうか。
問題の物証は上の写真である。
ザラ紙に赤で両面印刷されたこのビラには、恐ろしげな絵と共に衝撃的な文言が書かれているのだ。
「一九二三年諸君の国に大損害を及ぼしたかの大地震を記憶しているか、米国はそれに千倍する損害を生ぜしめる地震をつくり得る」
1923年の地震といえば、大正12年に発生した関東大震災である。このビラには、アメリカは関東大震災の千倍もの威力がある地震を人工的に発生させることが出来る、と書かれているのである!
このビラはアメリカ軍が戦闘機で日本各地にまかれたとされている。内容をつぶさに読んでいくと、人工地震は「2トン半から4トンの包み」によって引き起こされると書かれている。
恐らく、爆弾のような形状をしていると述べているのだろう。この「米国式地震」によって引き起こされる破壊は非常に大規模である事が示唆され、最後に「諸君はそれが発生する時を知るであろう」という不吉な言葉で締めくくっている。
現代の人工地震に関する噂は、アメリカの地震兵器によって引き起こされるとするものが主流であるが、このビラはそんな噂や陰謀論の証拠だったのだろうか?
実はこのビラは、「人工地震」という超兵器の存在をちらつかせることで、一般人を中心とする日本人に厭戦感を植え付ける、心理戦の一環として用いられたものだったのだ。
戦争では敵国や相手に対する心理戦もまた重要なものになってくる。このビラは、アメリカ人が当時の日本人の記憶に新しいであろう関東大震災を引き合いに出すことで、日本人が動揺するように心理戦を試みたものだったといえるのだ。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)