世界には多くの民俗芸能とリンクしたお面が存在する。その面を被ることにより、人は悪魔にも、神にもなれる異能なる魔力が手に入ると考えたのだ。

 この仮面をかぶった神々を「仮面神」と民俗学では呼んでいる。この「仮面神」は、日本各地に存在する。




 有名なのは、秋田に伝承されている「なまはげ」である。これは大晦日になまはげという鬼の仮面を被ったものが各戸を訪問してくる習慣で、歳神の意味も帯びている。他にも、北陸では「アマメハギ」という「仮面神」がいる。これはアマメと呼ばれる囲炉裏に当たってばかりいる者にできる痕をとりに来る来訪神である。

 他にも同じ北陸の「お面さま」、九州の「もっとも爺」などが想起される。いずれも不気味な扮装と奇妙なお面により、異形なる異界の「仮面神」に変化し、住民たちに教訓を与えている。

 では、何故このような「仮面神」が人々の祭の主役となり、来訪する神(或いは妖怪・魔物)として認識されるようになったのであろうか。

 それは、スザノオノミコトに纏わる神話に由来する。




 かつて、笠と箕で仮装したスサノオが、旅の途中で宿に困ったとき、蘇民という男は泊めてくれたものの、将来という男は冷たくあしらったため、後々不幸になったという神話なのだが、この故事から、「蘇民将来」と書かれた魔よけの札が生まれ、異界からやって来て、家々を訪ねる神(妖怪)の姿が、笠(仮面)や箕で扮装するようになったのである。

 つまり、「こなき爺」や「油すまし」が箕を被り、「呼子」や「いやや」が笠を身につけているのは、彼ら魔物がスサノオの末裔である印なのだ。つまり、お面を被る行為はスサノオという冥界の王に直結してしまうのだ。

(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©PIXABAY

関連記事

最近の投稿

ページ上部へ戻る