古くから森に生息する、お爺さんのような姿の森の守り神「レーシー」

 この妖怪『レーシー』は森の守り神であり、番人でもある存在だ。

 日本語では『レイシー』と表記する場合もある。森の植物や動物たちを護る番人であるため、心がけのよくない人間が森に入ってくると、それをこらしめるという。大好きなものはタバコであり、人間からタバコをもらうとものすごく機嫌がよくなる。日本でも山の奥に巨人のような姿をした「山男」という妖怪などが出現すると言われているが、彼らもタバコや酒で人間の山仕事を手伝ってくれたりしたというので、非常に似た側面があると言える。




 その外見は、巨大な体で異常に長い髭を持っている、動物のような毛皮に覆われており、赤い帽子や赤の上下の服を身につけていた。『レーシー』の一番好きなイタズラは、身内のふりをして人間を嘘の場所に道案内して迷わすことだが、 あまりにも怪しい雰囲気のため、あっさりばれてしまう。この妖怪に対する対策はひとつだけある。実は気が弱いので口汚くののしると、我慢できなくなって逃げ出してしまう。

 この妖怪の一番恐ろしいところは、人間のパーティーに紛れ込んで、酔っ払って大暴れすることである。『レーシー』が酔って踊り出すと、巨体のため村全体が崩れてしまうほどだそうだ。




 10世紀、キリスト教がロシアに布教する。ヨーロッパ各地の妖怪たちは、キリスト教の広がりによって滅んだが、かなり遅れてキリスト教が入ってきたロシアでは、古い神々が多数、魔物、妖精、悪魔として生き残ることが出来た。『レーシー』は、その代表的な存在である。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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