※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。
Sランクプリチー族「百鬼姫」はその可愛らしい見た目から子供から大人まで大人気のキャラクターである。
Sランクのレア妖怪らしく『妖怪ウォッチ1~3』まで一貫して妖怪ガシャポンからの入手方法しかなく、新作が出るたび全国のお兄さん方頭を悩ませている罪深き少女である。
「色違いのふぶき姫で我慢しなよ」という声も聞こえてくるが、とんでもない話で「ふぶき姫」は恥ずかしがり屋で「百鬼姫」はヤンデレという設定で細かく分けられている別妖怪である。百鬼姫には百鬼姫のふぶき姫にはふぶき姫の良さがあるので大きなお友達は寝食を惜しんで百鬼姫と友達になるため頑張るのだ(ちなみに『妖怪ウォッチ3』に初登場した椿姫はおしとやかな性格である。これはこれでファンが多い)。さて今回はそんな「百鬼姫」について元ネタ解析を行う。
「百鬼姫」はその名のとおり地獄の国で生まれたお姫さま。幼い頃から闇の妖術の教育を受けておりその実力は超一流とされる。しかし巨大な妖力を手に入れたのと引き換えに感情のほとんどを失っているとされている。
「百鬼姫」の「百鬼」とは日本古来の妖怪話に登場する『百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)』のことと思われる。
『百鬼夜行』とはあらゆる妖怪が集団を組み深夜の町を練り歩く妖怪たちのパレードのようなもので『今昔物語(こんじゃくものがたり)』などの書物に描かれている。
「百鬼姫」の必殺技は『ときめき★百鬼夜行』という妖術系の技で、行進する妖怪こそ描かれていないが、溢れんばかりの妖術で敵全体に大ダメージを与えたうえにステータスまでダウンさせるという恐ろしい技。まさにパレードをとり仕切る「妖怪のお姫さま」にふさわしい技である(名前がかわいいのは感情を失う前の自分を取り戻すためではとされてる)。
さて本来の妖怪伝承には百鬼姫のような「妖怪のお姫さま」はいなくとも「お姫さまの妖怪」は存在する。
「長壁姫(おさかべひめ)」は姫路城の天守閣に隠れ住んでいるとされる妖怪でお城の未来を将軍に伝えたり、戦闘態勢に入ると自ら巨大化して敵と戦うこともある恐ろしい妖怪である。また、コウモリなどあらゆる動物を自在に操る能力も持っているという。長壁姫は百鬼夜行にもその姿が描かれており「百鬼姫」の元ネタは姫路城の妖怪「長壁姫」ではないかと推測される。
しかし残念ながら長壁姫は百鬼姫のようにかわいらしい女の子ではなく獅子のような顔をしたヨボヨボのおばあさん妖怪とのことであり、設定はともかく見た目に関しては全くの別妖怪として(勝手に)認識させていただきたい。
(穂積昭雪 ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)