これは香川県出身の友人から聞いたお話です。
彼の自宅の付近に古いお寺があります。非常にぼろいお寺で、ここに「老婆」の幽霊がでるといいます。
このおばあさんは、生前このお寺の前で食べ物などを売っていたおばあさんで近所の人からも大変慕われていました。
おばあさんはお寺の境内にあるお堂で暮らしていました。しかし、最後には痴呆症となり、ある朝亡くなっていたそうです。その後、このおばあさんと思われる幽霊がよく現れるというのですが、普通の恰好ではないそうなのです。
指がない幽霊なのです。とにかく右手の指も、左手の指も一本もないのです。その手を両手ににゅ~と差し出してこう言うのです。
「めし食わせてくれ~」。
何故、この幽霊の手に指がないのでしょうか。それは最後、おばあさんはひもじくて自分の指を食べ物と間違えて食べてしまったそうです。だから指がないのです。最後におばあさんが発見された時は、やせおとろえた体で指の無いこぶしをくわえたまま亡くなっていたそうです。
だから今も「指のない手」で「めし食わしてくれ」と言いながら出るそうです。
何か胸が締め付けられます。
(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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