※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。
頭に草を生やし、地層の重なった大きな地盤を思わせる姿のだいだらぼっち。
大辞典では「おとぎ話にも出てくる伝説の巨大妖怪」と紹介されているが、現実のだいだらぼっちも日本全国に伝説を残しており、実際に大辞典の通り「山や池を作った神様ではないか」とも考えられている妖怪なのだ。
だいだらぼっちの話でもっともスケールが大きいものが、富士山にまつわるものだ。中部・甲信越に伝わる伝説によれば、富士山はだいだらぼっちが日本のあちこちから土をかき集めて作ったものだというのだ。
だいだらぼっちはまず滋賀県の土地からかなりの量の土を掘り起こした。その後にできた大きな穴に、大量の水が入って現在の琵琶湖になったという。そして、掘り出した土をもっこ(草のつるなどを網状に編んで作った運搬用の道具)で担いで運んでいったのだが、いくらかはこぼれ落ちてしまった。
そのこぼれ落ちた土が日本アルプスを形作り、まただいだらぼっちが作業に疲れて腰を下ろし、一休みした所は後に池になったりしたという。
だいだらぼっちは地域によっては「でいだらぼっち」「でえらんぼう」とも呼ばれている。だいだらぼっちという名前には独特の響きがあるが、民俗学者の柳田國男氏によれば、大きな人を意味する「大太郎」から来ている名前で「一寸法師」とは反対の意味があるという説を唱えている。
(黒松三太夫 ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)