妖怪

仲が良くなった家族の家事を手伝う、ロシアの妖精「キキーモラ」

キキーモラはロシアなどに伝承されている妖怪のような存在である。角の生えた狼の頭に鳥のようなくちばし、体は獣のように毛が生えていて、足は鶏という奇妙な姿をしている。

キキーモラは人が住む家に勝手に住み着くようになるが、人に見られるのを嫌い暖炉や屋根裏などに隠れるように潜み、滅多に人間の前に現れることはない。




夜中に「キー!」という叫び声をあげたり、機織りを始めたりして居住者の眠りを妨げる。その叫び声が名前のキキーの由来になっているともいわれている。

住み着いた家の家族が良い人々であれば、夜中に家事をやってくれる事もある。だが、逆に性根の悪い人間の場合には騒音などの迷惑行為にはじまり、病気にさせる火事を起こすなどの最悪の場合は食べてしまうという。

この性質を利用した悪事を働く人間もおり、嫌いな人間の新築工事を請け負った大工が工事中にキキーモラを住み着かせ、復讐したという話もある。

一度キキーモラが住み着いてしまうと退散させることは困難なため、彼女のお気に召されない限り、ずっとその存在に悩まされることになる。




元は人間だったとも言われているが、キキーモラになった由来には諸説ある。母の胎内にいた時に呪われてしまった子供だとする説や、主婦が夫からのひどい仕打ちを受け続け変身したものだとする説がある。

夫に悲観した主婦が夜中にひとりでブツブツと愚痴をいう姿を示唆する存在だともいわれている。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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