以前アトラスで、東京という大都市を取り巻く結界について紹介させて頂いた。日光東照宮や麻布の首塚を軸に江戸の町に結界を構成することになるのだが、もっと小さなコミュニティーのレベルでも、神社、仏閣、地蔵や道祖神などで結界を張り巡らすことで厄災などが入って来ないように祈願 してきた。
だが、現在こうした結界が崩壊の兆しを見せ始めているのだという。
風水などを研究している専門家によると、近年では池袋 周辺、さらに六本木ヒルズ周辺で頻発した大きな事件、さらに最近では、さいたま新都心や川口市などで多発する凶悪犯罪などは、都市結界崩壊が原因で起きた可能性が高いと言うのだ。
このような事態になった背景には、再開発というキーワードが関係しているという。
ある開発業者によると、バブルのころまでは基本的にどこの業者も開発の際に風水やその土地に詳しい専門家を雇い、結界や方位についての調査を行い、また地鎮祭にも結構なお金をかけていたのだ が、バブル崩壊以降、建設予算が下がり、そのような予算が削られるようになったのだという。
そうして、結界が崩れたことによる被害も生まれている。
ある神社で神主だった人物はこのように語っている。
「私の神社のそばで行われたビル建設で、建設地にあったお稲荷さんがいきなり撤去されました。私は狼狽し、建設業者に怒鳴り込んだのですが『有名な風水の先生に頼んだから大丈夫』と全く取り合ってもらえませんでした。そこでそのビル建設地の外れにある篤志家の方のお庭にお稲荷さんを奉らせていただき何とか体裁を整えたのです が…。その後、そのビルを建設したゼネコンは倒産しました。私は災厄が地域でなくその会社に降りかかり本当にホッとしましたよ」
このように、再開発の際の不手際により結界が壊れ、土地の地縛霊を起こしてしまったり、またエセ風水師の適当なアドバイスが原因で、結界の崩壊部を修復できぬまま竣工してしまう案件がバブル以降に急増しているようだ。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)