※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。
「妖怪ウォッチ2」にて本家軍の大将として登場する大ガマ。
ガマとは大きな体に、全身にイボのある体が特徴的なヒキガエルのことである。ガマは背中や耳の後ろのイボに毒腺があるのだが、ガマはこの毒を使って妖術を使うことができるため、たとえ捕まって箱に入れられたりしても、いつの間にか姿を消して、抜け出してしまうとする言い伝えもあった。
ここから、ガマは創作の世界で忍者に召還され、ピンチ状態から脱出できる「大ガマの忍法」の立役者になったのである。有名なものが江戸時代の創作から生まれた忍者「児雷也」だ。派手な格好で大ガマを呼び出す児雷也の姿は多くの人を夢中にし、歌舞伎の演目にもなった。妖怪ウォッチの大ガマの姿は、この忍者児雷也からきているものと考えられる。
妖怪たちの大将を勤めている大ガマだが、実際に戦で大将を勤めていた人物の正体が大ガマだった、とする伝説も存在している。室町時代の武将で応仁の乱の東軍大将だった細川勝元である。彼は京都の寺で政務を行い、夏場は一人きりで裏の池で泳ぐ事を趣味にしていたという。
江戸時代の怪談集『玉箒木』によれば、ある盗賊が勝元のいる寺に忍び込んだところ、3メートルはあろうかという巨大なガマが寝ているのを発見。ガマはすぐに人の姿に変化すると、盗賊に宝物をわたし「このことは誰にも言わないように」と注意したという。
同書では細川勝元の正体がガマの妖怪だったと結論づけている。
(黒松三太夫 ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)