海水浴は妖怪に注意!?これが海に現れる妖怪たち

夏休みになり、日本全国で暑い日々が続いている。全国の海水浴場などで海のレジャーを楽しむ人は多い。

さて、広い海には昔から様々な妖怪が住むと言われていた。海坊主や船幽霊などが有名だが、少しマイナーな妖怪も紹介してみよう。もしかしたら、出会う事があるかもしれない?




【海座頭】

 江戸時代の文献、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』等に登場する妖怪。主に波間に現れる禿頭の琵琶法師の姿で描かれている。盲目なのか右手に杖をつき、琵琶を袋に入れた状態で背中に担いでいる。

 『画図百鬼夜行』やそれ以外の書物にも詳細が記されていないため、どのような妖怪かは伝わっていないが、近年の妖怪関連の書籍には岩手県三陸沖に現れる海坊主の一種であるとか、海坊主のように巨大な姿をしているとされている。また、海で出会った漁師を脅かしたり、船を転覆させたり、時には非常に大きな姿になって船をまるごと飲み込んでしまう、との説もある。

 一説には、海坊主や海座頭は波間に顔を出したクジラを誤認したものであるという説があり、これに行き逢うと船が転覆させられてしまう、船が飲み込まれてしまうといった話もクジラに近づきすぎてしまったために転覆させられてしまったのではないか、と考えられている。

 実際にザトウクジラも琵琶を背負った座頭の姿に似ているからその名が付けられたとの説があり、実在する巨大な動物に対する比喩から創作された妖怪であるとも考えられている。




【海和尚】

 大きな海亀の体に、禿頭の人間の頭をしたものが波間から現れる……これが『海和尚』だ。この妖怪は海坊主の一種であり、これが現れると決まって暴風で海が荒れる、と王大海による『海島逸志』にて紹介されている。

 これと姿が似た別名の妖怪は、各地で報告されている。『譚海』には福井県の若狭湾に出現した『入鹿入道』なる妖怪が記されている。こちらの妖怪も海和尚とほぼ同じ外見であり、また目撃しただけで祟りがあるとして恐れられていたという。時々この『入鹿入道』は漁師の網にかかってしまうのだが、その際は酒を飲ませて海に逃がしてやったそうだ。他にも大朏東華(おおいでとうか)の『斉諧俗談』巻の五には体がスッポンで顔は人間と同じ、大きなものは体長1.5メートルを超えるという海坊主の話が収録されている。

 このように外見的特徴が詳しく書かれ、対処法も伝わっている事から海和尚はウミガメを妖怪として見たものではないか、とする説が強い。日本近海に棲息するウミガメは初夏から夏の盛りまでが産卵期であり、そのため浜辺や浅瀬に寄ることが多かった。当時の漁師の舟がこの時期のウミガメに乗り上げ、時には座礁や転覆してしまうこともあったため、注意喚起から生まれた妖怪ではないかとされている。



【関門海峡の河童】

 山口敏太郎が以前開設していたホームページ『サイト妖怪王』にて寄せられた情報にあったもの(※なお、現在氏が運営しているブログの前身となったサイトである)。

 情報提供者によると、瀬戸内海の関門海峡に架かる橋には、河童が出現するという。普通、河童と言えば水の中に住んでおり、泳いでいる人に襲いかかって尻児玉を抜く、といった習性を誰もが思い浮かべることだろう。しかし、この河童はひと味違う。なんと、海を泳ぐのではなく橋、道路を端って追いかけてくると言うのだ。この河童は、修学旅行のバスが橋を渡るたびに後を付け、走って追いかけてくるのだそうだ。

 この河童の正体は、修学旅行に行きたかったものの、その直前で不幸にも死んでしまった子供の霊だとされている。また、昔壇ノ浦の合戦で亡くなった平家の怨霊達であり、兜が脱げ髷が解けた落ち武者の姿が河童に見えたのだ、とする説もある。

(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画図百鬼夜行

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