妖怪・幽霊

怪談「おもちゃの電話」(2)

怪談「おもちゃの電話」より続く

しばらくしたある日、Nさんは娘のこんな会話を耳にした。

「横浜のおじちゃん怪我して入院するの? それ本当?」

横浜のおじちゃんとは、Nさんの弟のことである。Nさんはどこか気味の悪い思いがしながらも、娘が遊びでしていことに目くじらをたてるのも嫌だなと思い、聞き流していた。

その三日後、Nさんは驚くべき話を耳にすることになった。Nさんの弟が交通事故に遭い、本当に入院してしまったのだ。




幸い大事には至らず、骨折程度で済んだのだが・・・。Nさんの脳裏に娘の会話がよぎった。だが、すぐに「偶然に決まっているし、そんなことがあるわけがない」と頭から追い払った。

それから、Nさんは娘が携帯を片手に会話している様子に注意を払う様になった。もちろん、たわいない会話の真似事ばかりである。Nさんや奥さんに携帯を持たせ、自分の携帯と会話をしている真似や、幼稚園の友達と会話する様子を真似してみたり。

やはり偶然だったのだ。そう思いながら暮らしていたある日のこと。奥さんが買い物に出て、Nさんが娘とふたりきりになった際に、娘のこんな会話が耳に飛び込んできた。

「こんにちは。聞いてますよー。今日は何ですか? え!パフェのお店が? えーやだよー、あそこのパフェ大好きなのに・・・」

パフェのお店とは、家族3人で休日によくいく喫茶店のことである。娘はどうもその喫茶店に何かが起きるという話をしているようだった。




Nさんは娘にいったい何を話していたのか聞いてみることにした。すると、娘が悲しそうな顔でこんなことを言った。

「パフェのお店が燃えちゃうって・・・」

この話も現実になってしまった。数日後、仕事から帰宅すると、奥さんから喫茶店で火事が起きた事を知らされることになったのだ。

(※続く)

(監修:山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©PIXABAY