怪談「おもちゃの電話」

会社員のNさんは、デジタル機器に目がない。特に携帯電話に対する興味は強く、新機種が出るたびに激しく購買意欲をそそられてしまうという。

結局、発売早々に新しいモデルに変えてしまうのだが、そのたびに妻からは嫌みを言われるのだという。だが、Nさんは携帯電話に関する興味が強いだけに、知識も豊富である。

仕事でいかに最新機種に搭載された機能が必要かを説明し、最終的には説き伏せてしまうのだ。




そうして新機種を手に入れると、古い機種が無用になる。これまでは、購入した先で処分してもらっていたが、4歳になる娘におもちゃとして与えてみることにした。もちろん、娘に与える際には電話もネットも出来ない状態にしておいた。

それでも、娘はおもちゃとして与えられた携帯電話を喜び、すぐに電話をする真似をはじめた。この年頃の子供は、大人の真似をしたがるものである。

日頃から携帯電話でしゃべる大人の姿を見て、自分もやってみたくなるのだ。

ある日のこと、Nさんと奥さんが今でテレビを見ていると、ふいに娘のこんな声が聞こえて来た。

「ふーん、そうなんだ。あたしね、お遊戯会の練習があってけっこう忙しいのよ」




見ると娘が携帯電話をかける真似をしていた。その様子に、おもわずNさんは奥さんにこう漏らした。

「すごいな。まるで本当に会話しているみたいだ」
「このぐらいの年頃の子は大人の様子をよく見てるから、真似するのも上手いのよ」

確かにそうなのかもしれない。だが、Nさんは娘の迫真の演技に、なぜか薄ら寒いものを感じてしまったのだという。

(※続く)

(監修:山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©写真素材足成




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