埼玉県朝霞市に住む当時中学生だった少女が監禁されていた場所からの脱出に成功し、二年ぶりに保護された事件。
報道で事件の詳細が伝えられるたびに、犯人である寺内樺風容疑者(23)が誘拐するために周到な手段を用いていたことが明らかになっている。
今回の誘拐事件で、寺内容疑者は書籍や映画など様々な媒体を参考にして少女の家出を偽装し、また自分から離れることが出来ないように恐怖を植え付けていた事が判明している。
たとえば、1994年に出版された「完全失踪マニュアル」(樫村政則著、太田出版)には「本人の署名入りの書き置きを家族宛に残す」など、今回容疑者が使用したものと同様の手法が記載されている。また、本人が自発的に犯人の元から離れられないよう、誘導する手法もとっていたようだ。
今回の事件に類似した事件は、過去にも何件か起きている。
1966年5月18日に発覚した女子高生誘拐飼育事件では、犯人である角園九十九の元から被害者の少女が「逃げ出せる状況であり、その機会もあったのになぜ逃げ出せなかったのか」と、今回の事件と同様に懐疑的な目で見られることとなった。現在ではこの被害者の心理状況は、ストックホルム症候群や恐怖に対するあきらめの学習「学習性無力感」によるものだと考えられている。
女子高生誘拐飼育事件は、非常にショッキングなものだったため、事件を題材にしたノンフィクション小説や映画などが作製されている。興味深いのは、女子高生誘拐飼育事件の犯人である角園九十九もまた、実際の監禁事件を元に作製された洋画「コレクター」(ウィリアム・ワイラー監督作品)を見て、自分も同様の行為を行ってみたいと妄想するに至ったと証言している。
今回の朝霞少女誘拐事件の寺内容疑者も、似通った内容を証言しているとの話も出てきている。
今後の捜査結果が待たれる所である。
(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像『誘拐報道 [DVD]』