『笑点』の桂歌丸勇退、『昭和元禄落語心中』の大ヒット、桂文枝、三遊亭円楽の浮気騒動など2016年は落語ブームがさらに加速した一年となった。
そんななか落語界に新たな動きがあった。8月31日、新宿の寄席「末廣亭」にて故・立川談志の一門である「落語立川流」の特別興業が決まったのだ。
立川談志一門は1983年に所属していた落語協会を脱退後、新たに「落語立川流」を設立。
その後23年に渡り立川流は寄席への出演はできなかったが、ついに立川談志一門が寄席に帰ってくることになるのだ。登場する芸人はおよそ20名。その中には『ためしてガッテン』でお馴染みの立川志の輔の姿もある。メンバーには色物としてマグナム小林、さこみちよがいるがマグナムは元談志の弟子でさこみちよは談志の弟子の立川ぜん馬の妻であり、すべて立川談志の遺伝子を継ぐものといっても過言ではない。
これまで立川流の落語家は特別興行などで登場しており時々立川談志自身も登場していたが、一門会という形式では脱会後恐らく初なる。
この興業が行われた理由には大きな意味がある。それは各協会の重鎮たちが「落語会統一」に対して本格的に動き出しているということだからだ。
ことの発端は今年7月18日に行われた「福岡・天神落語まつり」において笑福亭鶴瓶が「東西とか協会関係なくもう落語界はひとつになればいい」と発言したことに対し各協会の重鎮が賛同の意を示したためと思われる。
その背景には落語界の世代交代が着々と進んでおり落語家内での協会の壁が無くなっていることがあると思われる。また昔と違い交通の発達で日本中の移動がしやすくなり地域で落語家を囲む必要が無くなったことも要因であるという。
今回の落語立川流の興業が成功すれば近い将来、協会の壁がなくなり歴史上初の「業界統一」に動き出すのではないかと期待されている。
(文:望月歌寿彦 ミステリーニュースステーション・ATLAS編集部)