伝説や昔話に登場する妖精や妖怪達には、変わった特徴を持つものが存在する。
スクォンクは19世紀から20世紀の初頭にかけて、ペンシルベニア州やウィスコンシン州の山間部や砂漠地帯などに生息していると噂された怪物である。大変醜い姿をしていて、体にはイボとシワが無数にあり、顔はイノシシをグロテスクにしたような容姿をしているという。
見た目から凶暴そうにも思えるが、実際はその逆でスクォンクは非常に臆病で、悲しみすら覚える存在である。
スクォンクは自分が醜いことを理解しており、姿を見られることを極端に嫌う。そのため、夕闇ごろなど薄暗い時間帯のみ活動する。また、自分の醜さを嘆いて常に泣いており、スクォンクの通った道にはこぼれ落ちた涙の跡が点々と残されているのだという。
存在が噂された地域では、多くの人々によって捜索されたがなかなか捕まえることは出来なかった。ある人物がスクォンクの鳴き声をまねてみると、スクォンクがやってきたのでようやく捕まえることが出来た。他の人間にも見せようと袋にいれて持ち帰ったのだが、袋を開けたところ、中は水と泡しか残っていなかった。
スクォンクは泣きすぎて、自分の体を涙として溶かしてしまったのであった。
捕まえられなくても、追いつめただけでも涙で溶けてしまうと言われており、別名「溶けて涙となるもの」と呼ばれている。これらの地域の山間部などで不可解な物音などが聞こえると、スクォンクが近くにいるのではないかと考えられたようだ。
恐らく、スクォンクは日本で言う小豆洗いのように、自然界で不意に耳にした奇妙な音に対する恐怖感や違和感から生まれた妖精ではないかと見られている。
(山口敏太郎 ミステリニュースステーションアトラス編集部)