『ジャングル大帝』は、漫画家・手塚治虫による長編漫画作品、そしてそれを原作としたテレビアニメ。森の王者・白いライオンのパンジャの息子で人間に育てられたレオが、動物と人間との間で成長していく様を描いた作品である。
日本初のカラーアニメ(1965)であり、また本作が大人気になったことから本作をモチーフとした白いライオンのペットマークがプロ野球球団・西武ライオンズで起用されている。
この西部のライオンはレオではなく父・パンジャだと解説されることもあるが、1979年の西部ライオンズファンブックにて手塚が「レオが西武ライオンズのシンボルマークに採用されたことは喜びと感激にたえません」とコメントを寄せていることから、パンジャではなくレオがモチーフだったと言えるだろう。
ジャングル大帝と言えば、ディズニー作品「ライオンキング」との議論が非常に有名だ。ライオンキングは、1994年に全米で公開された長編アニメ作品。ライオンの王子シンバが、父の仇である叔父を倒して王国に平和を取り戻すというストーリーとなっている。
本作は、手塚治虫の死去後に製作された作品であるが、そのプロットやデザインなど多くの部分がジャングル大帝と酷似しているということで、公開直後から大きな議論を呼んだ。
ディズニー側は、それまで原作があったディズニー作品と異なり、ライオンキングは初のオリジナル作品と銘打ち、ジャングル大帝を一度も見たことが無いと主張、これに対して日本の多くの漫画家がディズニーに対して質問状を送る事態にまで発展したという。
結果として、当時のアニメ・ジャングル大帝の監督をつとめた山本暎一が「気にしない」と言っていたこと、そして虫プロが生前の手塚がディズニーの大ファンであることを公言していたことから「手塚治虫が生きていれば『自分の作品が影響を与えたなら光栄だ』と語っただろう」と声明を出したことで、騒動は沈静化した。
このジャングル大帝には、もう一つ大きな”いわく”がある。ジャングル大帝は、そもそもが手塚によって執筆された漫画作品であったが、発売当初から単行本を出すたびに頓挫し続けており、また初版と文庫版で本の型が違う、手書きだった台詞が文庫版で小さくなりすぎたために大幅に変更される、といった事態が起こった。
挙句には、絵柄そのものまでが変わっているということもある。これはアニメ版を作るにあたって参考のためにと原稿を持ち帰ったスタッフが急死してしまい、その分の原稿がまるまる紛失してしまったため、改めて描き直されたという経緯がある。
原作の漫画がこのような紆余曲折を経ていたため、アニメ版はその第1話以外はほぼアニメオリジナルストーリーとされている。
ちなみに、ことごとく未完で終わってしまった漫画版で、最終話までが収録された単行本が発売されたのは、連載開始から13年後のことだった。
【参考記事・文献】
・https://karin-zakki.com/lionking-pakuri-6936
・https://sh-manga-anime.hatenablog.com/entry/jangurutaitei
・https://www.seibulions.jp/event/2023/lions_chronicle/colum_02.html
・https://www.disneynohimitsu.com/4258.html
・https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12144886137
・https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/54594.html
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【文 イトフゆ】