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「仮面ライダー響鬼」に見え隠れする時代劇版ライダー「変身忍者 嵐」の面影

『変身忍者 嵐』は、1972年4月から72年2月まで放送されていた東映製作の特撮テレビ時代劇作品。「仮面ライダー」という変身ヒーローものに、「仮面の忍者 赤影」などの時代劇要素を融合させた、言うなれば時代劇版仮面ライダーとも言える作品であり、原作者、制作局、メインライター、監督、そしてナレーターも仮面ライダーと同一だった。

主人公である忍者ハヤテが、忍者集団”血車党(ちぐるまとう)”の日本征服野望を止めるべく変身忍者”嵐”として立ち向かうストーリーとなっているが、当初こそ時代劇版仮面ライダーの趣を押し出していたものの、次第に何度も路線変更をしていく形となっていった。

これは、「嵐」より先に同じ特撮時代劇「快傑ライオン丸」がスタートしていたこと、そして「ウルトラマンA」が放送開始されるといった競合番組がひしめいていた事情があり、「嵐」は常に大苦戦を強いられることになってしまった。

この「嵐」、当時は「仮面ライダー」が作中に登場する案も検討されていたと言われている。前述したように、「仮面ライダー」とほとんど同じスタッフによって製作されていたため実際にあってもおかしくはなかっただろうが、結局実現するには至らなかったという。しかし、実はのちの「仮面ライダー」作品でとある特殊な形で登場を果たしている。

『仮面ライダー響鬼』(2005-06)の三十六之巻「飢える朱鬼」。

この回では、仮面ライダー朱鬼が神社から”鬼の鎧”というものを持ち出す展開が描かれているが、この鬼の鎧のデザインが嵐と瓜二つであり、実際に嵐のデザインがもととなっている。また、2005年に公開された『劇場版 仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼』では、嵐の敵である血車党と同音の「血狂魔党」という敵勢力が登場しており、ここでも嵐要素を垣間見ることができる。

実は「響鬼」の前作「仮面ライダー剣」の後番組について、当初企画段階では「嵐」を参考にした作品を制作する予定であったものの、結局は「響鬼」に落ち着いたという話があるという。

「響鬼」の本編や劇場版にこれほどまで「嵐」要素が用いられているのは、そうした背景も要因の一つとしてあったのかもしれない。

【参考記事・文献】
・https://x.gd/YgHbt
・https://x.gd/2fghD
・https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/49531.html
・https://dic.pixiv.net/a/%E5%A4%89%E8%BA%AB%E5%BF%8D%E8%80%85%E5%B5%90

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【文 黒蠍けいすけ】

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