ウルトラマンシリーズにまつわる「封印回」の逸話はいくつか存在する。最も有名なものといえば、被爆者をモチーフにデザインしたと言われるスペル星人が登場し、のちに紙面沙汰にもなった『ウルトラセブン』第12話の「遊星より愛をこめて」だろう。
『ウルトラマンタロウ』にも、再放送で欠番になったと言われているものがあり、閻魔大王をモデルにした怪獣エンマーゴと、それを封印を敷いていた地蔵というモチーフから不謹慎かつ縁起でもないという理由から封印されたと言われている第14話「タロウの首がすっ飛んだ!」がある。
後者に関しては、封印されたという情報自体が都市伝説と言われており、詳しくはまだわかってはいない。そして、『ウルトラマンA』にも、封印回が存在しているという都市伝説が囁かれている。
ウルトラマンAといえば、1972年4月から翌年3月まで放送されていた特撮テレビドラマであり、ウルトラシリーズの第5作目(昭和第2期の2作目)にあたる作品だ。ウルトラシリーズ初の男女合体変身といった当時としては画期的な試みがいくつもされ、「ウルトラファミリー」やウルトラ戦士の通信手段である「ウルトラサイン」の概念が登場したのもこの作品からだと言われている。
さて、そんなウルトラマンAには、お蔵入りになったシーンのある回が存在している。それは、第1話「輝け!ウルトラ五兄弟」に登場した超獣ベロクロンにまつわるものであり、広島県福山市にて出現したベロクロンが地球防衛軍の戦闘期待を全滅させるという事態になる。実は、当初ベロクロンは広島市に登場させる予定であり、なんと原爆ドームを襲撃・破壊する場面が撮影されていたという。
当然ながら、諸般の事情によって完成版では福山市に出現する舞台が変更されたものの、そのスチール写真自体は現存しており、閲覧することが可能であるという。
さて、ウルトラマンAの封印回というのはそのベロクロンのシーンであるのかというと、そうではない。それは、幻の封印回とも称されている、世には出回っていないと言われている回であるという。
その大筋は次の通り。ウルトラマンAのとある回の撮影・編集が終わり、試写が行われた。すると、その回のセリフやBGM、効果音といったあらゆる音声が全て、なぜか「女の金切声」に変わっていたというのである。あまりにも怪談めいたこの話は、2007年ごろの2ちゃんねる・オカルト板に書き込まれたのが出所であるとも言われている。そのため、この話自体が作り話であるとも考えられることにも注意が必要だろう。
だが、万が一そうした現象があったとした場合、それは音響の不具合によって金切声のようなノイズになってしまっただけだったのではないかとする指摘もあり、音響の調整によって修正されたため、封印されることなく通常回として無事放送されたのではないかとの見解もある。
いずれにせよ、この幻の封印回については今もって謎のままとなっている。
ウルトラマンAにはこの他にも、当初は「ウルトラA」というタイトルで製作が進行されていたが商標の関係で急遽変更され、そのためにNGとなってしまった主題歌が存在する、またもう一人の主人公である南夕子役の星光子が第28話の台本を渡されるまで降板させられることを知らされていなかった、というようなトラブルめいた逸話も存在。予算の都合というものも見え隠れし、いわくには事欠かないシリーズであったようだ。
【参考記事・文献】
【ゆっくり解説】ウルトラマンA謎の封印回の都市伝説について【情報提供のお願い】
https://x.gd/GsI46
ウルトラマンA
https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B3A#h3_0
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【文 黒蠍けいすけ】