『ファイヤーマン』は、1973年に放送された特撮テレビ作品、またその作中に登場するヒーローの名前である。円谷プロダクションと萬年社との共同で、円谷プロ創立10周年を記念して製作された作品であった。
天変地異などの影響で絶滅した恐竜が怪獣となって出現しだしたことで、地底の奥深くにある「アバン大陸」からやって来た正義のヒーロー「ファイヤーマン」が、人類を守るために怪獣と戦いを繰り広げるというストーリーとなっている。
「原点回帰」をテーマに掲げた本作は、それまで人気の安定に欠かせなかった怪獣の派手さや奇抜さを封印し、強靭さと獰猛さを演出するシンプルなデザインの怪獣が採用された。また舞台となる海底遺跡、氷山といったセットも非常に凝っており、ダイナミックなアクションシーンも売りの一つとなっていた。
しかし、創立記念作ともなる本作の人気は決して良いものではなく、視聴率の低迷によって全30話で打ち切りとなってしまった。これには、先の怪獣のシンプルさということも一要因としてあったようだが、当時の”対抗馬”が大きく影響していると言われている。
1973年1月7日に放送を開始した「ファイヤーマン」は、はじめは日曜18時半の放送枠であった。この枠の裏番組は、当時すでにお化け番組と呼ばれていたあの『サザエさん』であり、どうしても磯野家の牙城を崩すことは叶わなかった。
こうした事情もあり、放送3ヶ月後には放送枠を火曜19時に移動、当時の人気特撮番組「サンダーマスク」の後番組という位置づけで放送されることになった。しかし、ここでも強大な敵が立ちはだかった。
この枠には、タツノコプロ制作アニメ『けろっこデメタン』、連続テレビドラマ『赤い靴』の2本が存在していたのだ。
こうしたことから、枠の移動を機に「ファイヤーマン」はいくつか変更が加えられ、オープニングでその回に登場する怪獣を先見せするといったテコ入れを行なうといった工夫がなされた。だが、結果は先にも述べた通り、打ち切りという幕引きとなってしまった
。
ところで、本作は2010年に「TOKYO_MX」にて37年ぶりの地上波放送がなされた。しかし、なんとその放送時間は毎週日曜6時半、ファイヤーマンが敵わなかったあの『サザエさん』と再び裏番組で対峙することになってしまった。
この時は、放送時間枠こそ移動はしなかったものの、終盤はサブチャンネルに放送を移動し終了するということになったという。
重鎮サザエさんを前に、円谷プロ創立10周年記念を背負ったファイヤーマンはなすすべが無かったようだ。
【参考記事・文献】
・https://x.gd/s5nyb
・https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/44025.html
・https://thetv.jp/news/detail/15309/
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