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俳優「牧冬吉」 共演子役を可愛がりすぎてある人物から嫉妬された!

牧冬吉(まきふゆきち)は、松竹芸能に所属していた俳優。初期は『怪傑ハリマオ』などで敵役を多く演じ、その後『仮面の忍者 赤影』の白影役、『河童の三平 妖怪大作戦』の甲羅の六兵衛役など数々の作品に出演した。

出身地・秋田の高校在学中、演劇部に所属していた。そこで彼は役者の道に憧れるようになり、親に「早稲田大学を受験する」と偽り、卒業後に舞台芸術学院へ入学した。だが、すんなり入学にこぎつけたわけではなかった。

面接の際、与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」の朗読をすることになったのだが、牧の訛りがあまりにも強く、結果は不合格となってしまった。そこで、彼は4ヶ月間聴講生として通いながら標準語を猛勉強し、その熱意を買われてようやく入学することができた。

牧の代表的な出演作の一つである、「赤影」にまつわる体験エピソードは多い。

白影役だった牧は、水に入ってのアクションが非常に多かった。加えて、主演の坂口祐三郎が泳げないという理由から、赤影が水に入るシーンはすべて牧が替わりに行なっていたという。牧自身は、学生時代に水泳で鍛えていたことが生かせたアクションであると述懐している。

同作品ではトラブルにも幾度か見舞われており、乗馬の爆発シーンでは、馬が転倒してしまい、牧をかばって死んでしまうということもあった。このことは、牧にとっても思い出すたびに涙が出る出来事だったそうだ。

また。ピアノ線で吊りげた大凧に乗るシーンの撮影では、そのピアノ線がしょっちゅう切れてしまっていた。その際、子役であった青影(金子吉延)を毎回抱えながら落ちるようにしていたという。

実は、牧と金子は「赤影」のみならず「河童の三平」や『大忍術映画ワタリ』など多くの作品で共演していた。

牧は金子を常に褒めちぎるほど気に入っていたが、それをよく思わなかった人物がいた。

その人物とは牧の実の息子だった。牧の没後には金子への可愛がりぶりに「嫉妬していた」と明かしている。

なお、彼は父親の牧が悪役ばかり演じていた頃にはたびたびイジメられていたが、白影登場以後は逆に人気者となり、そのことについてはとても感謝をしていたという。

【参考記事・文献】
https://pedia.3rd-in.co.jp/wiki/%E7%89%A7%E5%86%AC%E5%90%89#gsc.tab=0
https://ameblo.jp/tabigei/entry-12354381660.html
https://x.gd/EiUle

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【文 黒蠍けいすけ】

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