アメリカ・サンフランシスコ市の北部には「ボヘミアン・グローブ」 (Bohemian Grove) と呼ばれる約10平方キロメートルの森が存在する。
広さこそそれなりだが、高さ100メートル以上にもなるセコイアの巨木が立ち並び、休暇でピクニックやハイキングで訪れるには最適な場所と言えるかもしれない。しかし、この森は現在とある団体の所有地となっており、毎年7月に会合が行われ悪魔崇拝の儀式や世界の動向を左右する決断が下されるとウワサされている。
この森の中で密かに儀式を行っているとされる秘密結社はその名も『ボヘミアン・クラブ』と呼ばれている。
表向きは会員制の社交クラブであり、芸術を愛好する男性であれば社会的地位、人種、有名度などにかかわらず正会員2人の紹介で入会することができるという。
会の規律も緩やかなもので、毎年7月下旬に2周間ほどボヘミアン・グローブの中で開催される芸術的なイベントへの参加が必須という程度だ。イベントは講演会から演奏会、ミュージカルやオペラなど様々で、演者はもちろん作曲や脚本、舞台や証明、音響などの裏方に至るまで会員の手で行われるという。
森の中にはステージとなる野外ホールや、1000人もの会員が一堂に会することのできる野外食堂も存在している。2週間もの長い期間イベントが開催されるので、森の中や近くの街には専用の宿泊施設もあるのだが、ボヘミアン・クラブの会員数は3000人。森に一番近いモンテ・リオの町は7月下旬になると会員が殺到して人口が4倍にも膨れ上がるという。
しかし、そんな芸術活動は表向きの顔で、実は恐るべき裏の顔があるとされている。
ボヘミアン・グローブの森の中には巨大な木製のフクロウを象った像があり、会合のクライマックスでは会員たちがフクロウ像の元に集まって大きな篝火を囲むという。
この会合で何が行われているのかについては様々な話があり、男同士の乱交パーティーや赤ん坊を生贄にし人肉食を行う黒魔術の儀式が行われているなど、様々な噂が存在している。
中でも驚くべきものが、彼らは「ニュー・ワールド・オーダー(※新世界秩序)」を目論む秘密結社であり、“世界を支配しようと企む悪魔崇拝者たち”で構成されているという説だ。
ボヘミアン・クラブの会員には、アイゼンハワー、ニクソン、フォード、レーガン、ブッシュ父子といった歴代大統領が在籍していたと言われており、他にも世界的な財閥であるロックフェラーの一族、また“新聞王”の異名を取ったウィリアム・ランドルフ・ハーストなど錚々たる著名人が名を連ねている。
そしてこの会合で、世界の趨勢を決める重要な決定が成されるという。
例えば共和党の大統領候補はこの場所で“洗礼”を受け、選挙に臨むのが常だという。他にも第二次世界大戦後に『国際連合』が正式に発足する前に実質的な最初のミーティングが行なわれたとか、アメリカの核武装計画『マンハッタン計画』の実行が決定されたといわれている。
事実、ボヘミアン・クラブの公式記録には、マンハッタン計画が発足した1942年8月、その1ヶ月後の1942年9月13日と14日にボヘミアン・グローブのクラブハウスでマンハッタン計画に関する重要なミーティングが行われたと記されている。また当時のボヘミアン・クラブの会員名簿を見ると、マンハッタン計画で政府の顧問委員会を務め4人の権威のうち、エンリコ・フェルミを除いた3名(アーネスト・O・ローレンス、J・ロバート・オッペンハイマー、アーサー・H・コンプトン)が揃っている。
戦後も米国の核開発を支えたローレンス・リヴァモア研究所の共同創設者ローレンスが在籍しているなど、戦後から現代まで続くのアメリカの核ビジネスにも繋がっているという。
そんな秘密結社ボヘミアン・クラブの発足は1872年、ゴールドラッシュ末期に遡る。
この頃アメリカでは自由な生活を追求する『ボヘミアン運動』が興っており、この運動を志す芸術家たちが集まって会合を行っていた。しかし運営にかかる資金が不足したことからパトロンに援助を求めた。
その結果、会合は政財界の要人に乗っ取られ、いつしかアメリカの保守主義勢力に属する政財界や軍関係者らエリート階級の集まる秘密結社へと姿を変えたという。
事実、ボヘミアン・クラブは入会費2万5000ドル、年会費5000ドルが必要とかなりの財力を求められる。それでもエリート階級や著名人にとってはこのクラブに所属すること事態が一種のステータスとなっているためか、既に定員オーバーになっているにもかかわらず、新規会員として参加したい人が後を絶たないという。
今のところ、新しくメンバーになるためには現会員が死去または退会で空きが出るまで待つ必要があり、正会員になるまでサンフランシスコ近辺在住であれば15年、そうでなければ25年ほど順番を待たなくてはならないという。
一方で精力的に芸術活動を行って生計を立てている人物や、アマチュアでも優れた芸術的な才能を有した人物であれば、すぐに準会員として認められる。その後20年間クラブ内で活動し、目覚ましい結果を出せば名誉正会員になれる制度もあるそうだ。
正会員になるまではなかなかハードルが高いが、アーティストには門戸が開かれている点は芸術活動を目的とした社交クラブという当初の目的に沿っていると言えるかもしれない。
ここまでボヘミアン・クラブについて書いてきたが、これらの噂を裏付ける資料は極めて少ない。そのため、中にはボヘミアン・クラブに関する噂は芸術活動を楽しむエリート層に向けられた嫉妬ややっかみから生まれた流言に過ぎないという意見も存在する。
ネットで検索すれば「ボヘミアン・グローブで開催されていた謎の儀式に潜入した!」という触れ込みの画像や動画を見つけ出す事もできる。しかし、その大半は内容が薄っぺらだったり、またブレていたりして、本当にボヘミアン・クラブの儀式を捉えたものなのか解らないものばかりだった。
ところが、2000年、映像監督のアレックス・ジョーンズ氏が実際にボヘミアン・クラブの会合への潜入に実際に成功。前述したフクロウ像の前で会員たちが奇声を上げながら人形を焼く“懸念事の火葬”という儀式の様子を映像に収めることに成功。
これは秘密結社ボヘミアン・クラブの姿に迫った映像として注目を集めたが、それから程なくしてジョーンズ氏の動画は削除。有していたSNSのすべてのアカウントが凍結・停止し、彼はネット上から姿を消してしまった。
その後、2020年にも別の人物がボヘミアン・クラブの会合を撮影することに成功したが、こちらの人物も現在はアカウントが消えてしまったという。
真実の姿に迫ろうとすれば消されてしまう秘密結社ボヘミアン・クラブ。その実態はボヘミアン・グローブの木々の影に隠されている。
参考url
https://www.project2025.org/about/about-project-2025/?gad_source=1&gclid=CjwKCAjwqMO0BhA8EiwAFTLgIL9UBcU5T0oVzKZLTonGAxwIcPCgcmD4z2lpbZQzSdMmf9-A5hGzYBoCGd8QAvD_BwE
https://www.citizensforethics.org/reports-investigations/crew-investigations/trump-has-said-he-wants-to-destroy-the-deep-state-56-times-on-truth-social/
(山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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