踊る大捜査線は、フジテレビ系列で放送された刑事ドラマシリーズである。
1997年にテレビシリーズが放送されて以来、数度の劇場版と多数のスピンオフ作品が制作されているほどに高い人気を誇っている。
刑事ドラマといえば、スタイリッシュ、いぶし銀といったカッコよさが主体となっているものが従来のお約束であり、銃撃戦やカーチェイスといった要素も多々見られていた。
しかし、コメディを基調とした本作は、宮仕えの悲哀と苦悩を描き、本庁と所轄の対立や職場の描写など、それまでにはなかった”現実味のある”要素を取り入れており、それが本作の大きな特徴にもなっている。
このことは用語の使用にも表れており、具体例では刑事を「デカ」ではなく「捜査員」、加害者を「ホシ」ではなく「被疑者」と呼ぶ、「発砲許可」・「パトカー手続き」といった手続きが存在している、といったものが上げられる。
踊る大捜査線の人気ぶりを伺わせるエピソードとして、2001年に放送されていた連続テレビドラマ『ロケット・ボーイ』にて、放映期間中に主演の織田裕二が腰を患ったために収録が中断、その対応として同じく織田が主演の本作を再放送したところ、「ロケット・ボーイ」よりも視聴率が高くなってしまったという話がある。
この踊る大捜査線、実は「新世紀エヴァンゲリオン」がモチーフになっているという。
本作のプロデューサーを務めた亀山千広によれば、その作風に「エヴァ的な要素を意識」したり、「キャラクターショーのようにすることで分かりやすさを演出」することに努めたとのこと。
権力の象徴たる碇ゲンドウを本庁、市民を守ろうとしながら葛藤を抱える少年たちを所轄の捜査員たちと置いたような形かもしれない。
余談であるが、踊る大捜査線の放送開始時はインターネットが社会に浸透しつつあった時期であり、ドラマフォーラムというサイトが本作放送の翌日にパンクしてしまうほどに盛り上がったと言われている。そして、過去で同様にパンクしたことのある作品は「エヴァンゲリオン」ぐらいだったとのこと。
そして、もう一つ本作に影響を及ぼした作品と言われているのが押井守監督作品・ロボットアニメ「機動警察パトレイバー」だ。
パトレイバーは、1988年に発表された作品であり、99年の東京を舞台にレイバーと呼ばれる乗り込み用ロボットが普及した世界での警察ドラマを描いた作品だ。
実は、踊る大捜査線は早い段階でパトレイバーと類似しているといった指摘がなされており、それについて監督を務めた本広克行も、「影響を受けています」と認めているという。これは、そもそも本広が押井の熱狂的なファンであることも関係していたようである。
また一部では、パトレイバーの影響は踊る大捜査線よりも、むしろそのスピンオフ作品である『交渉人 真下正義』の方が特に強く受けているとも評価されている。実際、この真下正義のストーリー内にはパトレイバー内でなされていたものに似た描写や展開が非常に多く、実写版「パトレイバー」ではないかとすら言われている。
【参考記事・文献】
・https://x.gd/Szwa8
・https://news.yahoo.co.jp/articles/3eaa4b190b52580a5cce15ea97f70d1a47b054d4
・https://type-r.hatenablog.com/entry/20050513
・https://x.gd/UnzFD
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【文 ナオキ・コムロ】
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