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ツッコミどころ満載!ロボットアニメ「鋼鉄ジーグ」伝説

鋼鉄ジーグは、1975年から76年にかけて放送されたロボットアニメ作品である。原作を永井豪・安田達矢とダイナミック企画、東映動画が制作をてがけた本作は、マグネロボシリーズの第一弾であり、サイボーグ化した主人公が変形した頭部パーツに、磁石の力で各種パーツを合体させて巨大ロボになるというコンセプトとなっている。

本作を一言で言い表すと、ツッコミどころが非常に多い作品ということだろう。

そのストーリーは、まず主人公である司馬宙(しばひろし)が、いつの間にか自分がサイボーグになっていることから始まり、そのきっかけもレース中に車がバナナの皮を踏んでスリップしてしまい、車から投げ出されて轢かれても死亡しなかったせいだ。

発端は、彼の父で考古学者でもある司馬遷次郎が、発掘によって銅鐸を入手し、かつて古代日本を支配した邪悪な国家「邪魔大王国」の復活を察知したことによる。

銅鐸の奪還を目論む邪魔大王国の女王ヒミカ配下の者たちが襲撃して遷次郎が死亡、だが彼はあらかじめ巨大ロボット・鋼鉄ジーグの建造によって来るべき日に備えた。息子・宙は、”勝手に”体内に銅鐸を隠され、邪魔大王国と戦う運命を背負うことになる。

詳細に見ていくと、そのツッコミどころは特に際立つ。邪魔大王国の幻魔要塞は動力が石炭であるが、兵士であるハニワ幻人がせっせと石炭をくべて現代のジェット旅客機にも追いつくほどの機動力を有する。

その一方で、見た目が岩盤であるためかジーグのマッハドリルですぐに破壊されてしまう。それなのに、ジーグを火山火口に誘い出して上から蓋をするという戦法を、なぜか2度も行なっている。

そもそも、銅鐸の奪還をする目的は、かつての邪魔大王国の元締めである帝王を呼ぶためであったのだが、実は銅鐸そのものではなく銅鐸に罹れた文字が必要であり、銅鐸自体を隠す意味は無かった。なお、この帝王は器量も無かったがゆえに謀反された経緯を有しており、またジーグに比して小さかったこともあって手にしていた剣を叩き落とせば弱いという扱いに留まっていた。

さらに、本作はその主題歌もかなり仰天するような内容となっている。水木一郎が歌唱する『鋼鉄ジーグのうた』は、その出だしが「ダナダダダン ダダンダン ダダン」に始まり、「おれがやめたらバンババン」「バラバラババンバン ババンバン」など、やたらに擬音が多い。歌詞の半分以上がこの調子であり、「全滅だ」など非常に荒っぽいものとなっている。

この荒っぽさは作品内のセリフも同様であり、特に象徴的なのはハニワ幻人に放った主人公が放った「死ねぇ!」という叫びだろう。

実は、この叫びは18話のみ放たれたものであるが、のちに「第2次スーパーロボット大戦α」のPVでこの叫びが使用されたことで広く認知を高めることとなり、現在では本作を象徴するフレーズになってしまった。

なお、この鋼鉄ジーグのあらすじや設定では、「邪魔大王国は騎馬民族に滅ぼされた」といったものがある。これは、放送当時に流行していた左翼思想の名残であるとされている。

実際、作中で邪魔大国に対して話し合おうと幾度も説得するが殺されてしまった博士が聖人扱いされるといった場面もあり、非常に偏った思想を持ったアニメと見る声もある。

ケガの処置でもないにも拘らず、息子の知らぬうちにサイボーグ化した父親など、普段無視を決め込んでいるマシン・ファザーが、主人公のピンチに際し、ただただ精神論で叱るなど、スポ根とも異なるいびつな道徳観・教育観が展開される。

だが、こうした点がこんにちにいたって、動画サイトなどを通じてカルト的人気を誇る最大の要因になったことは間違いないだろう。

【参考記事・文献】
https://dic.nicovideo.jp/a/%E9%8B%BC%E9%89%84%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%82%B0
https://dic.pixiv.net/a/%E9%8B%BC%E9%89%84%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%82%B0
https://dic.nicovideo.jp/a/%E6%AD%BB%E3%81%AD%E3%81%87%21

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【文 ZENMAI】

画像『鋼鉄ジーグ[愛蔵版]